明日28日のウエスタン・リーグ広島戦(甲子園)後に予定されている阪神掛布雅之2軍監督(62)の退任セレモニーが、悪天候などで試合中止になった場合でも、実施を検討されていることが26日、分かった。日頃からファンを大切にしており、今季最終戦後に感謝の気持ちを伝えるべくマイクを取ることになりそうだ。26日は鳴尾浜でのラスト采配。背番号31の雄姿を目に焼き付けようと平日の昼間にもかかわらず、1000人を超える観衆が駆けつけた。

 鳴尾浜でのラスト采配となったこの日も、1000人を超える観衆が駆けつけた。平日の昼間にもかかわらず集まったファンを目の当たりにして、掛布2軍監督は自身の思いを口にした。「ここが僕ら(2軍)のホームだからね。選手たちがいい野球をして、1軍に上がって(甲子園で)活躍することでファンは喜んでくれる」。ずっと見てくれる人がいるからこそ、選手は伸びる。そんな掛布イズムを常に伝えてきた。「僕は辞めるんだけど、彼ら(選手)は変わらない心を持ってほしい」。そんな望みを託し、鳴尾浜での最後のタクトを振った。

 就任から2年たったが、掛布フィーバーは続いている。この日は試合開始の約2時間前から入場制限が行われ、ファンが長蛇の列を作った。試合後には掛布2軍監督が自らサインカードを配布。感謝の気持ちを込めた。「(自分に)『ありがとう』と言ってくれることが、照れくさい。あまり現役時代にそう言われて球場をあとにしたことがないから」。

 今季最終戦でもファンを大切にする。明日28日の広島戦(甲子園)後に予定されている退任セレモニーが、悪天候などで試合中止になった場合でも、実施を検討されていることが分かった。日頃からファンを大切にしており、感謝の気持ちを伝えるべくマイクを取ることになりそうだ。

 「2軍といえどもプロですから、1人でも多くのファンの前でゲームをすることがベストだと思う。いい緊張感を与えてくださって感謝しています」。この日の試合でも、0-7の8回裏に猛反撃。打者一巡の攻撃で6点を返した。1点及ばずに敗れたが、指揮官の思いを選手が形にした。

 試合後は選手とともに整列してスタンドへあいさつ。そこで、胸に突き刺さる言葉が飛んできた。「掛布…。絶対戻ってきてや! 次は甲子園で待ってるぞ!」。震える声が聞こえた瞬間、ミスター・タイガースはわずかにうなずいた。【真柴健】