日体大(関東5連盟第1代表)が、初優勝を狙う星槎道都大(北海道2連盟)を3-0で破り37年ぶり2度目の優勝を決めた。来秋ドラフト候補で、最速152キロ右腕の東妻(あづま)勇輔投手(3年=智弁和歌山)が2安打完封。準決勝で4安打完封した、同じく来秋ドラフト候補の松本航投手(3年=明石商)との2枚看板で「日体大時代」を築く。

 

 優勝の瞬間、マウンドに立っていたのは東妻だった。最後の打者を右邪飛に打ち取ると両手を上げ、仲間を迎え入れた。「めちゃめちゃうれしい。大学で1度も優勝投手がなかったので今日は絶対なりたかった。自分の投球に100点をあげたい」と感極まった。

 準決勝で、チームメートでありライバルの松本が完封した。「自分もやってやろうという気持ちになった」。年始の目標で「打倒松本」と書くほど負けん気の強い東妻は、打たせて取る投球で7回まで内野安打1本に抑えた。入学当時は四球で自滅し肩肘の故障も味わった。元中日投手の辻孟彦コーチ(28)の指導のもと1歩ずつ成長し、2安打1四球でVへ導いた。

 昨年から「体育会イノベーション」と称した改革が始まった。下級生の負担を取り除き、上級生が掃除や荷物運びを引き受けた。すると、1、2年生が自ら動く好循環が生まれた。古城隆利監督(48)は他競技の監督にも教えを請うた。「やってきたことが正しいと証明できた」と涙した。

 優勝後のスタンドでは、日体大伝統の応援スタイル「エッサッサ」が響いた。病気のため、9月に亡くなった同部の相曽幸宏(あいそ・ゆきひろ)さん(1年=帝京)の遺影も集合写真に納まった。東妻は「来年も成長できる実感がある。春、秋とここに戻って来られるよう頑張りたい」と171人全員でつかんだVをかみしめた。【和田美保】