稲葉監督が、初陣を劇的なサヨナラ勝利で飾った。延長10回に上林の3ランで追い付いた直後、右前打で出塁した西川が二盗を決め、途中出場の田村が決めた。2死二塁、カウント2-2。内角フォークを引っ張り、左中間を破るサヨナラ適時二塁打だ。二塁上で両手を突き上げる田村に、走り寄った仲間たちが歓喜の水シャワーをぶちまけた。劇的フィナーレを稲葉監督は穏やかな笑みで見つめていた。

 お立ち台に立った稲葉監督は「大会が始まる前に、最後まであきらめずにやっていこうと話をしていた。選手がみごとにやってくれた。勝ったのは非常に大きいし、選手がぐっと1つになれたと思う」と言った。

 3回は2死一塁からヒットエンドランを仕掛け、近藤健の二塁内野安打が相手二塁手の失策を誘って、先制点を奪った。積極的に動く姿勢は貫いた。開幕戦の直前、一塁側の関係者サロンで全選手の前に立った。「悔いのないようにピッチャーはこの1球、バッターはこの1スイングに魂を込めてやっていこう。新しいユニホームの縦じまは輪つなぎ。オレがオレがではなくて、みんなでつないで最後には勝つ」と伝えた。苦しんだが、言葉通りの展開で白星スタートを切った。【前田祐輔】