田中が最高出塁率のタイトルを獲得した。出塁率3割9分8厘2毛は2位丸(広島)と7毛差で、チーム最終戦で4安打を放って丸を逆転した。田中の打率はリーグ11位の2割9分。出塁率が現行の計算式となり、両リーグで表彰されるようになった85年以降、タイトルを獲得した66人の打率順位を出すと、1位が22人、2位が12人、3位が9人おり、全体の65%が打率3位以内。出塁率1位は打率の高い選手が有利で、打率10傑入りしていないのは14年バレンティン(ヤクルト)以来5人目。過去4人は1発警戒で歩かされ、四球が多くなったホームラン打者。8本塁打の田中は、しっかり四球を選んでタイトルを手にした。

打率10傑入りしていない選手の最高出塁率
打率10傑入りしていない選手の最高出塁率

 15年4月1日から続ける全イニング出場は425試合に伸びた。1番で142試合、3番で1試合の田中は打席数も多い。679打席は昨年と同数で歴代7位タイ。数多く打席に立って出塁率が高いところに価値がある。85年以降、リーグ最多打席で最高出塁率は94~96年イチロー(オリックス)15年山田(ヤクルト)に次いで3人、5度目。打席数が歴代10傑入りのシーズンに出塁率1位は今季の田中だけだ。

シーズン打席数10傑
シーズン打席数10傑

 相手投手に2960球を投げさせた。今季のセ・リーグで2番目に多い丸が2669球だから、約300球の差をつけた。投げさせた球数の古い記録は不明だが、60年以降では田中が最も多い。7球以上が昨年の54打席から104打席に増え、10球以上粘った四球も2個あった。1打席平均の投球数は14年3・62→15年3・76→16年4・16→17年4・36と、年々粘りを増してきた。今季は盗塁王も獲得し、105得点は2位。フル出場し高い出塁率で得点が多いうえに、足が速く、粘って球数を投げさせる。4年目の田中が理想的な1番打者に成長した。【伊藤友一】

今季セ・リーグで球数を多く投げさせた打者
今季セ・リーグで球数を多く投げさせた打者
田中の投球数別打席数
田中の投球数別打席数

 ▼広島は昨年が2位巨人に17・5ゲーム差、今季は2位阪神に10ゲーム差。2桁ゲーム差の連覇は65~67年巨人、12、13年巨人に次いで3度目だ。2年連続リーグ1位の攻撃3部門は打率16年2割7分2厘→17年2割7分3厘、本塁打153→152、盗塁118→112と似たような数字も、得点圏打率は昨年の2割6分4厘から2割9分7厘へ大幅にアップ。結果、得点が昨年の684点から736点に増え、平均得点が5・1点。得点2位のDeNAに139点差(史上6番目の大差)をつけ、圧倒的な攻撃力で連覇した。

広島全成績【注】点線より上、打者は規定打席=443、投手は規定投球回数=143に到達。白ヌキはリーグ最多
広島全成績【注】点線より上、打者は規定打席=443、投手は規定投球回数=143に到達。白ヌキはリーグ最多
広島全成績【注】点線より上、打者は規定打席=443、投手は規定投球回数=143に到達。白ヌキはリーグ最多
広島全成績【注】点線より上、打者は規定打席=443、投手は規定投球回数=143に到達。白ヌキはリーグ最多