“お化け屋敷”に新たな仲間が加わりそうだ。ソフトバンク千賀滉大投手(25)が3日、宮崎キャンプでブルペン入りし、習得に挑戦中の「お化けスライダー」を披露した。受けた甲斐拓也捕手(25)も「えぐい。新垣さんのよう」と絶賛。急激な曲がりで捕手も捕球に苦労したOB新垣渚氏(37=ソフトバンクジュニア監督)ばりの新魔球を高評価した。縦の「お化けフォーク」をより生かす横の「お化けスライダー」で、さらなる進化を目指す。

 千賀が新たな“お化け魔球”を繰り出した。キャンプ2度目のブルペン投球。「今まで投げていたのと、違うスライダーを試しています」と明かした。

 千賀といえばストーンと落ち、打者の目線から消えると言われる「お化けフォーク」が代名詞。フォークを武器にWBCでも活躍し、日本一にも大きく貢献した。だが、スライダーには不満があった。「ポンポン放り込まれる。変えたいと思っていた」。ゆったりと曲がる従来のスライダーは、打者にタイミングが合わされやすいと感じていた。

 昨季レギュラーシーズン最終登板のオリックス戦では、若月、T-岡田に2者連続で同じ球を被弾。「もう少し見直す必要がある」。甲斐と分析、反省し、改善案を話し合ってきた。他の投手にも話を聞くなど試行錯誤。キャンプイン前に本格的に投げ始めた。

 受けた甲斐が証言する。「キレもあって、打者の手元で曲がる。良かったですよ。今までの球がスラーブみたいだったのが、スライダーになった。えぐい時は、(新垣)渚さんのスライダーのよう」。

 かつての右腕新垣氏はスライダーの切れ味が鋭く、打者だけでなく捕手も捕球が困難だったことから、「バニッシュボール(消えるボール)」と称された。千賀の新球も従来よりスピードがあり、変化も鋭いという。これまでのスライダーも無駄にはしない。「今まで使っていたものはスラーブとして、これからも使う」と使い分けるつもりだ。

 首脳陣も千賀の挑戦を歓迎する。倉野投手統括コーチは「現状維持でいいと思ってはいけない。常にレベルアップの意識を持ってほしい」。若田部投手コーチも「まだ改良の段階だが、意識が高い」と評価した。横変化の「お化けスライダー」があれば、縦変化の「お化けフォーク」はより効果的。最速156キロの「お化け真っすぐ」はさらに生きる。「すごい球にするために練習したい」。新たな武器を磨き、真のエースへ上り詰める。【山本大地】