WHY、小林? 巨人小林誠司捕手(28)が宮崎春季キャンプ第2クール初日の6日、臨時コーチとしてチームに合流したOBの松井秀喜氏(43)に独占マンツーマン指導を受けた。全体練習では観察を続けたレジェンドの初指導を特打で受け、下半身の使い方などを教え込まれた。球界屈指の守備力を誇る半面、2年連続打率最下位と課題を抱えている。ゴジラの教えで課題を克服し、チームが浮上すれば、BECAUSE小林に変わる。

 セ・リーグ最低打率からの脱却に、小林がゴジラの独占後押しを受けた。全体練習終了後の居残り特打で、ただならぬ視線を感じた。目の前に松井氏がいる。対面したまま身ぶりを交えて、約1時間のマンツーマン指導が始まった。第1クールまでは左足をポンと上げる一本足打法だったが「前足はボールを探りにいく感覚。打ちにいく癖があるので軸足にもっと体重を乗せて」。アドバイスを受けたこの日は、すり足打法に近いフォームでバットを振り込んだ。

 Bクラスからの逆襲には小林の打力向上は欠かせない。もちろん本人も「打てないと試合に出られない。危機感しかない」と、個人としても最重要課題として取り組んでいる。昨季は138試合に出場も、セ・パ規定打席到達者55人中ワーストの打率2割6厘。“打てない捕手”のレッテルを貼られた。ただ、妙な胸騒ぎを生み出す魅力があるのも事実だ。開幕前の第4回WBCは侍の正捕手として、7試合で20打数9安打1本塁打6打点。驚異の打率4割5分と、別人の活躍で列島を沸かせた。初出場のオールスターでも初打席初本塁打で度肝を抜いた。

 限られた時間で臨時コーチを務める松井氏から、初日のターゲットに選出された。全体練習で沈黙を貫いたゴジラを振り向かせ、引きつけた。岡本、吉川尚ら期待の打者は何人もいる。その中でゴジラを独占し「すごく緊張しましたが、すごくうれしかった」と興奮気味に振り返った。松井氏は「フォームで気になったところがあったので伝えた。彼が少しでも成績を伸ばせば、それが巨人の得点につながるわけだから」と言った。WHY小林? BECAUSE 打てばチームが浮上する。【為田聡史】

 ◆WHY小林の由来 昨年の球宴第2戦3回2死。小林がオリックス金子から、オールスター初出場、初打席、初スイングでレフトに豪快な1発を運んだ。球宴前までシーズン0本塁打と超伏兵の本塁打に高橋監督もベンチでうなだれ、なぜ今なんだと言わんばかりに両手を広げる“WHY”ポーズ。WBC1次ラウンド中国戦以来の本塁打で摩訶(まか)不思議な「リアルお祭り男」が生まれた。