昨年、育成選手ながらファームの盗塁王に輝き、今季から再び支配下登録された楽天島井寛仁外野手(27)が21日、自慢の快足を存分にアピールした。

 代走および右翼としてハンファ(韓国)との練習試合(変則ルール)に出場。まずは5回に岡島の代走で登場すると「ベンチで見ていて投手のクセが自分の中で分かって。捕手に(投球を)外されてもセーフになる自信があった」と続く山下の初球に二盗。4球目に三盗。山下の犠飛で生還した。

 8回には一塁内野安打で出塁。今度は執拗(しつよう)にけん制されたが「だからこそ行ってやろうと」とまたも二盗を決めた。1安打3盗塁の活躍に梨田監督も「戦力として考えていいのかなと思う」と満足そうにうなずいた。

 オフに、西武に移籍した松井稼頭央外野手(42)と自主トレをともにした。「これまで正直、スタートダッシュが得意じゃなかった。どうやったらトップスピードに早くなれるか。稼頭央さんのやり方を取り入れている」。今までは右足にかけていた重心をほぼ体の中心に置き、内転筋をしめることを意識してスタートすると、より早くトップスピードに入れるようになったという。

 12年ドラフト5位で楽天入り。15年から3年間は育成選手に“降格”となった。だが「育成だった3年間がなかったら今の自分がないのは間違いない」という。「育成選手になると目標を失いがちになる。でも育成選手がファームで盗塁王を取ったら周りの反応がどうなるか。それを見てやろうと思ってやっていた。『支配下選手が育成選手に負けて良いの?』っていう気持ち。それだけは譲れなかった」。

 開幕へ向け「自分の走塁で周りも引っ張っていけたらいいなと思います」。その言葉は力強かった。【楽天担当 千葉修宏】