2回のマウンドに西武菊池雄星投手(26)の姿はなかった。寝違いによる首全体の張りで、1回21球で緊急降板。大事をとっての決断で「今朝起きた時から、あまりよくなかった。そこまで強い張りではなかったので大丈夫だと思ったんですが、かばいながら投げている感じがあった。変なフォームになるといけないので(降板を)判断しました」と悔しさをにじませた。

 心待ちにしていた登板だった。相手先発は、かつての西武のエース、松坂。怪物右腕のプロ1年目、99年は自身が小学3年生で野球を始めた年だった。150キロを超える剛速球。テレビで勇姿を見る度に「本当に日本一の投手だなと思ってました」と憧れを抱いてきた。プロ入り後も、思いは同じ。「先輩から『9回まで絶対マウンドを降りなかった』という話や、たくさんのことを聞いていて。投げられることを、楽しみにしていたんですが、今日は自分のことで、いっぱいいっぱいになってしまった」と頭を下げた。

 すでに決定している開幕投手に向けても、重要な登板だった。100球めどをクリア出来ず「結果にこだわっての思いが強かったので、残念」。これまでは精度向上を目指すフォークなどを試してきたが、この日はシーズン同様、勝負にこだわって投げ込むつもりだった。幸い軽症で「とにかく次までに治すことを考える。予定通りいけるように調整していきたい」。大役を果たすため、松坂との投げ合いへの思いは封じ込めた。万全を期し、開幕前最後の登板となる23日DeNA戦に臨む。【佐竹実】