4番復帰を視野に入れた。広島鈴木誠也外野手(23)が14日、日本ハム戦(マツダスタジアム)でオープン戦2号ソロを放つなど、復帰後初のマルチ安打を記録した。復帰後最長の7回までプレーし、最多となる3打席に立った。入念なケアをしながら、右足首の状態は上向いている。近づく完全復活のとき、開幕4番も見えてくる。

 強振から高々と舞い上がった打球は、右翼から左翼へ吹く風にも乗って左翼フェンス最前列に吸い込まれた。ダイヤモンドを回る鈴木には確かな手応えがあった。「自分のスイングができた。この時期は結果どうこうではなく、強い真っすぐに振り負けないことに重点を置いている」。直球を武器とする日本ハム高梨との対戦で、ファーストストライクからしっかり間合いを計り、反応し、そして強振できた。“オープン戦2号”という結果以上の収穫があった。

 オープン戦残り9試合で、復帰後最多となる3打席に立った。7回の打席では代わった玉井の低めの直球にも反応。遊撃を強襲して今年初のマルチ安打とした。復帰後最長の7回までプレーしたことに加え、1試合でタイプの異なる投手と対戦したことも収穫。「試合の雰囲気にも慣れてきた」。実戦感覚も徐々に研ぎ澄まされている。

 オープン戦7試合のうち、4番には松山が最多5試合に起用されている。ただ、緒方監督は打順について「全部決まっているわけじゃない」と1~3番以外の白紙を強調。鈴木は来週末の先発フル出場を見込んでおり、下位打線の並び次第ではオープン戦期間中の「4番鈴木」もテストされる可能性がある。ここまでスタメン4試合はすべて5番起用。昨季98試合務めた4番には「特に意識はしない。どこに座ろうともやることは変わらないし、攻め方も変わらない」と興味を示さない。

 まだ全快ではない。練習時には負担を軽減するクッション性の高いスパイクを履き、球団のアイシングマシンを家に持ち帰って使用するなど、状態回復へ細心の注意を払う。1日1日変化する状態とともに、感覚が変わる打撃とも向き合っている。ただ、完全復活のときはそう遠くはない。全快となれば、開幕4番も見えてくる。【前原淳】