巨人上原浩治投手(42=カブス)が、本拠地をジャックした。28日、東京ドームでの投手練習に参加。ブルペンではなく、実際のマウンドで37球を投じた。日本の軟らかいマウンドに合わせるため、投球フォームを改良中。明日30日に迫った阪神との開幕戦へ、本番仕様のマウンドで細部にまでこだわった。この日、マウンドで調整したのは開幕投手の菅野智之投手(28)と2人だけ。新旧の19番が開幕へ照準を定めた。

 静寂を切り裂く甲高い音が、観客のいない球場中に響いた。上原は東京ドームのマウンド上で、何度もフォームを確認しながら、ミットをめがけて右腕を振った。「まだ3試合しか投げていないので、ここで投げたいなと思い、自分からお願いをした。ブルペンとは感覚が違うので」。マウンドで投球練習を行うのは珍しい光景だが、志願した。直球、スプリットを組み合わせ37球、約10分間貸し切った。

 納得のいく球を投げるためのイメージはできつつある。自らの投球を写した00、02年のビデオを見返し、前回25日の楽天戦から体のひねり、グラブの位置を変えた。1回を3者凡退と結果につながり「早く慣れるようにしたい」と手応えはつかんだ。歩幅も投球前に1歩ずつ計測し、以前より半歩広げた6歩半に定着。日本仕様のフォームが成熟してきた。

 米国では実戦感覚を失わないために、開幕2日前までオープン戦が行われる。「日本の方が開幕までの時間はある。あれこれ考えたくないので、ぎりぎりまでオープン戦をやってもらっていた方が…」と話したが「ここは日本。アメリカのことは忘れてやる」。今を見つめ、違いを受け入れた。

 上原の投球前には菅野がマウンドに上がり、偶然にも“新旧背番号19リレー”が完成した。「開幕からいけるつもりで、言われたところで便利屋として投げるだけ」。いよいよ明日、開幕を待ちわびた満員のファンの歓声に結果で応える。【桑原幹久】