速攻の虎だ。阪神は7試合で6度目の先制点を奪った。立役者は福留だった。初回2死一、二塁。5番打者の主将はMAXに集中していた。ジーのツーシームをしぶとくはじき返す中前打。スコアボードにいきなり「1」を刻んだ。

 「昨日、ことごとくチャンスをつぶしてしまっていた。チームに迷惑をかけてしまったので、気持ちでいきました」。接戦の末に敗れた前日6日は終盤の2打席、得点圏に走者を置きながら倒れた。ベテランは「悔しさを持って今日は球場入りしていた」とリベンジを期していた。しかも、ジーには3月18日オープン戦で6回まで3安打無得点に封じられただけに、思いは積み重なっていたはずだ。

 今年の打線が序盤から得点できている理由を代弁する。「ミーティング(を踏まえた準備)であったり、みんなが集中してゲームに入れている。(チャンスが)誰になるかは分からないけど、全員で何とかしようとなっている。1打席目で、つないできたチャンスをものにできたのは良かった。自信を持ってスイングをできました」

 先制点が多いのは、福留が言うように、それぞれの打者が役割を果たしてきた結果。前日も初回に1点先行されたが、直後に2点を挙げて逆転していた。

 福留自身も元気だ。開幕から7試合、ほぼフル出場。打率はリーグ2位の3割9分1厘。開幕直後は言いようのない疲れが出る時期。まして今月41歳になる肉体だ。「ちょっとした疲れが出てくるけど、ゲームに出る以上は関係ない。出るために準備していくだけ」とサラリ。秋山、大山と並んだお立ち台。その最後に「目の前の試合を全員で、全力を尽くして、最後まであきらめることなく、泥臭く勝っていきたい」と声を張った。【柏原誠】