あぁ、また貧打…。阪神がタイムリー欠乏症でヤクルト2回戦(甲子園)を完敗した。昨季限りでDeNAを戦力外になった山崎憲晴内野手(31)を先発2番に抜てきするなど打線を組み替えたが不発。5度、先頭打者が出塁しながら今季初の完封負けを喫した。11日広島戦の6回以降、31イニング連続適時打なしで3連敗。借金も1となった。ロサリオや大山の不調が続くが、金本知憲監督(50)は「いま、どん底。あとは上がっていく楽しみがある」と前を向いた。

 甲子園にしとしと降りしきる小雨が冷たかった。阪神打線がヤクルト相手に空回りした。先発石川に翻弄(ほんろう)される展開。1点を追う6回には円陣を組み、1死二、三塁の絶好機を築いた。だが、糸原は内角球に詰まらされて一ゴロに倒れた。大山も、継投で投入された近藤の外角低め変化球に空を切った。もどかしさばかりが募った。

 この日は昨季限りでDeNAを戦力外になった山崎を先発二塁で起用し、上位打線も組み替えたが、機能しない。5度、先頭打者が出塁したが生かせず、今季初の完封負け。11日広島戦の6回以降、31イニング連続適時打なしの窮状だ。金本監督が「(石川は)のらりくらり。風が強かったからスライダーが思ったより曲がった気がするわ」と振り返った。昨季、対戦防御率6・26と打ちまくったベテラン左腕の術中にはまった。

 昨年、18勝7敗とお得意様だったヤクルトに黒星が2つ先行。今季初の3連敗で借金1を背負った。金本監督が「見ての通りでしょう」と指摘するのは、4番ロサリオの不調だ。4回無死一塁で、完全にタイミングを外され、当たり損ねの投ゴロ併殺。8回は外角スライダーを引っ掛けて、三ゴロ併殺に倒れた。3番糸井、5番福留が好調なだけに2併殺のブレーキが浮き彫りになった。逃げていく変化球を意識させられ、打率は1割台目前だ。R砲も「(変幻自在な石川に)しっかり対応していかないといけない。今日はそれができなかった」と反省した。

 開幕から週末は3週連続で、昨季のBクラスと対戦したが、いずれも負け越し。まだ、投打の歯車がかみ合わず、我慢の戦いを強いられる。チーム総得点の38点は12球団最少で、チーム打率2割1分8厘はリーグ最低だ。それでも、金本監督はどっしり構える。

 「いま、どん底でしょう。早いうちに、こういう時期が。いいんじゃない、逆に。あとは上がっていく楽しみがあるでしょう」

 ロサリオだけでない。プロ2年目の期待株、大山も得点圏で11打数無安打と苦しむ。序盤戦で訪れた最初の試練。「生みの苦しみ」の反発力を待とう。【酒井俊作】