金本阪神が苦しみながら中日先発の松坂大輔投手(37)から白星を奪い、今季初の3連勝で貯金を2に増やした。12年ぶりの国内勝利を目指したベテランの気迫に押されてか、打線が4安打と沈黙。犠飛と併殺打の間の2点で何とかしのぎ勝った。金本知憲監督(50)は「不満足な勝ち」としながら「しっかり喜ぼう」と表現。今日20日からの巨人3連戦へ手綱を締めた。

 何とか、何とか怪物から2点をとった。左翼スタンドを黄色に染めた虎党の声がかき消されるほど、ナゴヤドームは松坂一色。手を合わせて祈る竜党がいる。雰囲気を漂わせて投げる松坂がいる。押されに押されたがロサリオ、福留が計3安打と好走塁で意地。得点は犠飛と併殺の間の計2点でも、3連勝をつかんだ。

 福留 (中日時代に対戦した)13年前と比較するわけじゃないけど、大輔も知っているし、懐かしい感じというか。でも勝負は勝負。連打、連打することは難しい。そのなかで点を取れたのはよかった。

 ロサリオ 1つの目標に向かってチームみんなで戦っている。松坂? 日米の違いはあるけど、打てて良かった。

 主砲が走った。2回にロサリオが死球で出塁。福留の右前打で一気に三塁を陥れた。速い打球も、迷いのない判断と好走塁。「1個でも前の塁をと思った。あれで結果的に1点につながってよかった」。続く糸原の中犠飛で先制のホームを踏んだ。同点に追いつかれた後の4回は、失策と四球で無死一、二塁をつくり、ロサリオが右前打。無死満塁から福留の遊ゴロ併殺の間に決勝点をもぎとった。

 怪物はかつての剛速球とスライダーだけではなくなり、変化球の多い配球に阪神打線は面食らった。右打者、左打者ともに内角のカットボールを多投され、差し込まれた。そこにチェンジアップ、フォークもうまく交ぜられ、打たされた。追加点がほしい7回には2安打と四球で2死満塁をつくったが、勝負手の代打上本が空振り三振。振り絞る平成の怪物の気迫に押された。

 球速は140キロ前後。打てそうで打てない、点を取れそうで取れない。救援陣は先頭打者を四球で出し、ピンチも招いた。金本監督は「全然、不満足な勝ちですけど、勝ちは勝ちでしっかりと喜ぼうということなんで、今年は」と苦笑い。「貧打の試合でしたけどね。(松坂は)球種が多いみたいだから絞りにくさもあったのかもね。適当に荒れていたし」と続けた。不満足でも価値ある1勝。怪物に土をつけ、虎は泥臭く進む。【池本泰尚】