エースが勝ちっぱなしで4月を終えた。西武菊池雄星投手(26)が楽天打線を6回3安打無失点に抑え、5勝目を挙げた。四球や先頭打者を出さない丁寧な投球で、今季初めて無失点でマウンドを降りた。開幕投手が全て先発で開幕5連勝したのは球団初。16年5月25日から続く自身の対楽天の連勝は13に伸ばした。チームも本拠地で開幕10連勝。隙のない戦いぶりで、首位快走が続く。

 大砲を手玉に取り、5勝目の権利を手にした。2-0の5回2死一塁。1発同点の場面で、菊池は楽天ペゲーロを迎えた。初球から外角にスライダーをそろえた。空振り、ファウル、ボールからの4球目も、ストライクからボールになるスライダーで空振り三振。力いっぱいグラブをたたいた。「僕は8割方は直球かスライダー。前回まではスライダーがどうしても膨らんでたけど、今日は直球に近い軌道で投げられました」と納得できた。横振りになっていたのを、この1週間で縦振りに修正した。

 自身4連勝で迎えた。結果は最高だが、期するものがあった。「自分の投球をしよう」。この2試合は5失点ずつ。本調子ではなく、強力打線に救われていた。前回20日のロッテ戦。8回5失点ながら勝利した直後だった。クラブハウスで野手陣と居合わせると、自然と言葉が出た。「ありがとうございました。次は僕がしっかり投げて勝ちます」。静かに決意表明した。

 絶対に勝つ。だから、丁寧を心掛けた。「先頭を出さない。四球で走者をためない」と自らに課し、ストライク先行。その姿に仲間が応える。初回、先頭茂木に初球を右前打されたが、渡辺直のバントに捕手炭谷が好判断。二塁に送り、併殺に切った。打線はその裏、2点先制。菊池も「銀さん(炭谷)に助けられました。相手(先発)は則本さん。終盤まで必ず接戦。点を取ってもらった後、流れを渡さないと意識しました」と無四球無失点で応えた。

 オープン戦期間中に首を寝違え、開幕前の実戦不足を自覚しながら、ここまで来た。「援護がありながら勝って、気持ちは楽になりました。フォーム的には今日が一番。5月は自分の投球が出来るように。今日は良いきっかけになりました」。9連戦のため、次は5月4日楽天戦に今季初の中5日で向かう。71球でお役御免。着実に、本来の姿になりつつある。【古川真弥】