首位西武が“爆勝”だ。楽天に2点を先制されたが、5回からの3イニングで14得点。今季初の先発全員安打で今季最多タイ15安打を重ね、今季最多16得点を記録した。開幕からの本拠地連勝を球団新の11に伸ばし、貯金は今季最多の13となった。またも強力打線が爆発したが、5回の決勝点は、金子侑司外野手(28)の“勇気”に、秋山翔吾外野手(30)が“修正力”で応えた結果だった。

 打席の秋山は、ずいぶんと気が楽になった。2-2の同点で迎えた5回だった。先頭で9番金子侑が楽天藤平から左前打で出塁。1番の自分に打席が回ってきたが、初球に二盗を決めてくれた。しかも、捕手山下の悪送球があり、一気に三塁へ。勝ち越しをさせまいと、楽天内野陣は前進守備を敷いた。「三塁まで行ってくれて、ヒットゾーンが空いた。前に飛ばすだけだ」と引き締めた。

 それまでの2打席は、いずれも直球に三振。すると、辻監督が「上からかぶせて打った方がいい」と助言をくれた。「同じ投手に2打席、やられるのは。取り返す場面を金子が作ってくれた。気合、入りました」と燃えた。フルカウントからの6球目。今度こそ直球146キロを捉え、右前へ決勝打を運んだ。「初球から走れば乗れる。勇気を持って(スタートを)切りました」(金子侑)という後輩の気持ちを感じ、監督の助言で修正し、三度目の正直で打った。

 2本塁打を含む15安打で16得点。“今季最多”ぞろいの派手な数字が並ぶが、内実は「やるべき事をやる」という地道な積み重ねだ。この日の試合前も、選手ロッカー室では秋山と金子侑が言葉を交わしていた。今季初対戦の藤平が相手。「秋山さん、(盗塁が)行けると思ったら積極的に行きます」。「分かった」。互いに意思を確認していたから、塁上と打席でスムーズな連携が生まれた。

 秋山は「強引には打たないのか、自分で決めるのか。各選手が良いバランスを取っている。それも、つなぐ前提があるから」と、打線の力を強調した。4打点の山川は、一番うれしかった打点を問われると、5回の11号2ランではなく3回の押し出し四球を挙げた。打って、走って、選んで、つなぐ。その流れの中で長打があるから、どんどん得点が重なる。各自が使命を果たすから、強さに隙がない。【古川真弥】