中日松坂大輔投手(37)の移籍後初勝利に、中日森繁和監督(63)も表情を緩めた。西武時代のコーチと選手だった2人は交流があり、昨オフにソフトバンクを退団していた松坂に入団テストを受けさせることを決めた。

 「ドラゴンズのユニホームで1勝してほしいと思っての獲得だったが、4月の最後にこうなって、彼、私、チームにとって、5月にもいいことが起きると感じさせるものになった」

 試合後に会話を交わし「中日に来て初めてなのは分かっているけど、そんなに久しぶりなんだと2人で話していた」と明かした。

 先発投手としての意識の高さに、あらためて舌を巻いた。ピンチを1失点でしのいだ5回終了時で100球。森監督は自ら「もういいだろ」と告げたが「いきます」と返答された。右肩への配慮で、なるべく無理はさせないように起用してきた指揮官としては心配なところ。だが希望に応えて、5回の打席に立たせ、6回のマウンドに送った。「代えようと思ったんだけど。先発は5回ではなく6回以上、120球近くが当たり前という考えがあるのだろう」。6回終了後にはジョークで「最後までいけよ」と伝えた。松坂は「僕が返事する前に帰ってしまったので、交代なんだと思った」と笑った。

 最大のピンチだった5回の場面。3点リードの2死満塁。2安打されていた宮崎に四球を出し、失点した。ただ松坂が最少失点で切り抜けるための選択だったと聞くと「打たれて2~3点取られるのがイヤだというのが、あいつらしい」とうなずいた。

 連敗は4で止まった。「松坂にとっても大きいが、うちにとってもな。やっと10勝目。9連戦のときに松坂で勝てた。昨日打たれた2人(鈴木博、田島)も松坂のために、という気持ちがあったと思う」とチームにとっても大きな1勝と強調した。