やっと勝てた! 楽天先発の辛島航投手(27)が、6回5安打2失点で今季初勝利を挙げた。開幕から好調を維持しながら、打線の援護に恵まれず。自身3連敗で迎えた中、今季6戦目の挑戦で報われた。チームは4月20日以来の2連勝。最下位からの逆襲を目指す。

 ようやくスポットライトを当てられた。辛島が、今季初めてヒーローインタビューに登場した。

 辛島 とにかく勝ちたい気持ち。それだけでした。勝ち越しを許して、駄目だったところも野手のみなさんのおかげで勝てた。個人の勝ちは気にしない。これからもチームの勝利を求めていきたい。

 普段と変わらず、淡々と質問に答えた。マウンドでも同様だった。初回に先制点を献上。同点の4回には、勝ち越し点を許した。「何とか粘って」と冷静にアウトを積み重ね、6回2失点。直後の7回に味方打線の援護があり、今季6度目の挑戦で待望の「1勝目」を手にした。

 もっと早く、白星を手にしていてもおかしくなかった。データが証明している。前回登板(3日日本ハム戦)を終え、0勝3敗ながら防御率は2・56。この数字は規定投球回をクリアしている左腕の中では、リーグNO・1だ。梨田監督も試合前「なかなか恵まれていないというか。勝っていてもおかしくないんだけど」と言うほど、安定していた。チームメートも「あれ? まだ勝っていなかったっけ?」と驚くほどだった。

 本人は「まあ、勝てて良かった」と特に、はしゃぐことはない。いたって、落ち着いた様子。普段から冷静さがよく似合う。囲み取材では報道陣の質問の状況を精査する。周囲を見渡して「そろそろ、終わりますか? 出し尽くしましたよ。聞くこともないんじゃないですか?」と自ら仕切り、笑いを誘うことも度々ある。下手に遠慮はしない-。誰に対しても“ドンと”構える。そんな男だから自身3連敗で迎えた今回のマウンドも動じなかった。【栗田尚樹】