慶大が2季連続36回目の優勝を決めた。明大が法大に敗れ、慶大は残る早大戦で連敗しても勝率で上回るため。慶大のリーグ連覇は、大久保秀昭監督(48)が主将だった91年以来で、秋春連覇は72年以来46年ぶり。リーグ2位タイの9打点、打率4割の4番・郡司裕也捕手(3年=仙台育英)が攻守で活躍。完投投手ゼロながら防御率1点台と守った。慶大は6月11日から始まる全日本大学選手権に出場する。

 戦況を見守っていた慶大ナインが、横浜市の合宿所食堂で喜びに沸いた。明大が法大に敗れて、優勝が決定。扇の要、捕手としてチームを引っ張ってきた郡司は、仲間と手をたたいて分かち合った。「メンバー外の4年生がサポートしてくれ、恩返しができて良かった。下級生も含めチーム全体で勝てた」と、かみしめた。

 全10試合継投で守り勝った。昨秋のチーム防御率は3・38で、今季はここまで1・62。チーム目標の「2点以内」を大幅にクリアした。郡司がサヨナラ打を放った明大1回戦では、ベンチ入り7投手を使い切った。「1点差でも同点まではいいと思えるようになり、強気に攻められるようになった。僕がどうにかしなきゃならない方が、1人の投手が無双するより楽しい」と、経験値を上げたことでリードを楽しめた。

 郡司は多くの投手の球を受けるため、全体練習の大半をブルペンで過ごした。足りない打撃練習は自主練習で補い、毎夜バッテリーミーティングを行った。「勝つべくして勝った。どこよりも練習している自負がある」と胸を張った。慶応高だった兄拓也さん(27)の影響で「KEIO」に憧れたが高校受験で失敗。名門・仙台育英(宮城)で文武に励み、やっと慶大の中心選手になれた。4番捕手の重責も「楽しくて仕方がない」と笑った。

 昨秋の明治神宮大会は初戦負けを喫した。「早稲田に勝つことはもちろん、選手権で絶対日本一になる」。狙うは昨秋達成できなかった勝ち点5での完全優勝と、日本一。チームスローガンの1つに掲げる「超越」の通り、今度こそ頂点をもぎ取る。【和田美保】

 ◆郡司裕也(ぐんじ・ゆうや)1997年(平9)12月27日、千葉県生まれ。小学2年で野球を始め捕手。ちはら台南中では千葉市リトルシニアに所属し、3年時に全国大会優勝。仙台育英では3年夏の甲子園で準優勝。慶大では1年秋から正捕手で、2年春にベストナインを獲得。打撃の手本はソフトバンク内川。趣味はボウリング。180センチ、83キロ。右投げ右打ち。