冷静な判断で、3連勝をもぎ取った。2位日本ハムが最大6点差をはね返す大逆転勝ちで、首位西武に1ゲーム差とした。延長10回、三ゴロの処理をめぐってリクエストによるリプレー検証で判定が覆り、2死一塁が一転、1死一、二塁に。近藤健介選手(24)が中越えの2点適時打を放ち、勝ち越した。右太もも違和感で主砲の中田翔内野手(29)が先発を外れる中、15安打の猛攻で交流戦前の最後を白星で締めた。

 日本ハムは延長10回1死一、二塁で、もっとも頼りになる打者に打席がまわった。右足の故障から復帰後、完全復活した近藤は「つなぐことだけを考えて、集中していた」。直前にベンチの超ファインプレーで、好機が広がっていた。1死一塁から、西武守備は外崎-浅村-山川と、三-二-一の三ゴロ併殺を狙ったが、二塁手・浅村は二塁をまたいで一塁へ送球。いったんはベースを踏んでいたとして一塁走者はアウトになったが、日本ハム側のリクエストでリプレー検証の結果、判定が覆った。「あそこがセーフになるか、アウトになるかで、全然違う」と近藤。拾った勝ち越し機を、逃さなかった。

 相手守備のわずかなほころびを見逃さず、ベンチから真っ先に主張した選手会長の中島は「余裕でわかりましたよ」と不敵に笑い「昨日も試合を見ていて、(浅村の二塁を踏むタイミングが)少し早いなと思っていたので」。春季キャンプ中も、繰り返し映像をチェックして対策していた場面だったため、すぐさま反応できた。

 これで同一カード3連勝で、西武には5連勝。主砲の中田が右太ももの違和感で先発を外れて打線の大改造を余儀なくされたが、そんなことも今の日本ハムには問題にならない。2発を含む先発全員の15安打で“山賊打線”に打ち勝った。首位西武とのゲーム差は、ついに1。栗山監督はリクエストの場面も振り返り「みんな諦めなかった。みんなで勝ちたいという気持ちがありがたかった。そういう気持ちが、ひとつになった」と、同一カード3連勝を喜ぶ。交流戦を前に、チームの雰囲気は最高潮。貯金は今季最多の7に膨らんだ。【中島宙恵】