4月に発足した社会人野球の北海道ガス(北ガス)が、上々のスタートを切った。5日、札幌市内で札幌6大学春季リーグ1部6位の北海学園大と初の対外試合(7回)を行い、2-0で勝利した。先発清水洋二郎投手(22=慶大、函館ラサール)が4回1安打無失点と好投。守備陣も安定し、無失策での1勝となった。元社会人野球日本代表監督の小島啓民監督(54)が掲げる「繊細さへのこだわり」を、早速初陣から披露した。

 地に足着けての“初陣”となった。初の対外試合は大学生相手に完封勝利。北ガスの小島監督は「結果より内容だが、負けるより勝った方がいい。ここまでの成果を試す場なので、ある程度はできたかな」と謙虚に振り返った。

 選手16人で、できることをしっかり体現した。先発清水は4回1死二塁のピンチを迎えたが「先取点を与えるわけにはいかない。あそこでエンジンを切り替えた」と、続く打者2人を打ち取り、雄たけびを上げた。野手も無失策で援護と終始、引き締まった展開で白星を挙げた。

 チームの始動から小島監督が繰り返し言い続けたのは「細かいところにこだわれ」。練習中にグラブのひもが切れていた選手に言った。「それで打球をこぼして負けたら、つまらないことで1年が終わるよ」。社会人選手としての自覚を最優先に植え付け、この日の初実戦も、気持ちが切れることはなかった。

 ここまで2カ月の練習は、元侍ジャパン打撃コーチとして、主に打撃に時間を割いてきた。「打撃は量が大事。打てなかったら5ミリ握りを変えるとか、なぜできないか工夫してみろ」と自主的に考えることも促した。7回2死満塁では2番大友祥之(22=立正大)に三塁コーチスボックスから「ためをつくれ」の一言で、決勝の中越え2点適時二塁打を生んだ。実績に裏打ちされた言葉は、すぐさま改善のヒントになった。

 今後は月10試合程度、道内大学と練習試合を続け、8月には関東遠征を予定。「本州の社会人の強さを知ってもらうことも必要なので」。初の公式戦を予定する9月の日本選手権道予選に向け、小島イズムを浸透させていく。【永野高輔】