打って無事を証明することが、心配する後輩への優しさだった。延長11回1死二、三塁。DeNA大和は2安打、2盗塁で味方がつないだチャンスに「なんとかしたかった」。12日の練習中、頭頸部(けいぶ)に打球が直撃し、2試合休んで迎えた復帰戦。中前へはじき返す決勝2点適時打を打った。お立ち台では「こんだけ元気にやっているんで、大丈夫です!」と笑顔を届けた。

 救急車で緊急搬送された。騒然とする球場に寝転がり、抜けるような青空が見えた。「何が起こったか分かんなかった」。駆けつけたスタッフたちに囲まれ頭を固定。打球を当てたことを謝り続ける佐野を見上げながら、幸い意識はハッキリとしていた。「ずっと謝ってるから『お前の打球かいっ!?』って突っ込みました」。この日の朝には佐野に「試合で出られるから、大丈夫」と伝え、有言実行の決勝打だった。

 痛みもなく何事もなかったように平然と過ごしている。「当たりどころが良かったんですかね」。8回にはショートバウンドの難しい打球をファインプレーで捕球。攻守で存在感を見せチームは3位再浮上。わずか2日で見事にカムバックを果たした。【栗田成芳】