覚悟を決め、腕を振った。2点差に追い上げられた6回2死走者なし。DeNA今永昇太投手(24)は代打宇佐見に全球ストレート勝負を挑んだ。「陽(岱鋼)さんに変化球をホームランにされた後で、ここがターニングポイントだと思った。自分の一番いい球を投げて、何が何でも打ち取りたかった」。高めの142キロで二ゴロに仕留め、6回を4安打3失点。約1カ月ぶりの白星となる今シーズン2勝目を手にした。

 今季は故障で出遅れ、2度の登録抹消も経験。結果が出ない中で「(映像を)見返すと打たれたことを引きずって表情やしぐさに弱気な部分が出ていた」と自戒した。そんな左腕を助けたのは2つの言葉だった。

 篠原、木塚両投手コーチ 四球を出すことも、打たれることもある。その後の打者に、気持ちをフラットにして投げられているか。

 捕手戸柱 いつもマウンド上で反省していないか。抑えられれば正解と考えて、反省は試合が終わってからすればいい。

 2四球も絡んで1死満塁とした初回。3回に四球と連打から失った2点。6回に陽岱鋼に浴びた1発。まだ納得がいく投球は出来ていないが「自信を持って投げた球を何度もはじき返されましたが、切り替えて、もう1回自分を信じて投げられた」とうなずいた。

 ここぞの場面で、闘志を込めた直球で勝負できた。「真っすぐが自分の生命線。迷いを持ったら通用しない。ファイティングスピリットを持って投げられた」。スライダー、カーブ、そして握りを変えたチェンジアップも、力強い直球がなければ生かせない。「チームが勝てたことプラス、自分に勝ちがついたことを弾みにしていかないといけない」と誓った左腕が、チームに2カード連続勝ち越しを運んだ。【佐竹実】