巨人は18日、新オーナーに読売新聞グループ本社代表取締役社長で巨人軍取締役広報担当を務める山口寿一氏(61)が就任することを発表した。都内の同社で会見を行った。6月以降に相次いだ不祥事の責任を取り、老川祥一取締役オーナーが前日17日に辞任。球団の信用を失墜させる緊急事態に、渡辺恒雄主筆に次ぐ、本社首脳が先頭に立って改革を進める。

 山口新オーナーは信頼回復の第1歩として「厳しさ」を強調した。質疑応答を終え「最後にひと言だけ付け加えたいと思います」とマイクを手に取った。「再発防止のためには厳しさが必要。球団にとって選手は宝物のような存在であり、宝物を大事に育てるという立場に立ち、これまで不徹底だった教育をより徹底する考えで取り組んでいきたい」。断固たる姿勢で改革へ乗り出す覚悟を示した。

 負の歴史に歯止めをかけなければいけない。04年8月に渡辺恒雄氏、16年3月に白石興二郎氏、そして、老川氏が引責辞任。裏金、野球賭博、立て続けの不祥事と不本意な形で交代を強いられた。「6月以降、不祥事が相次いだ。偶然と考えてはいけない。日常生活や社会的な指導は誰の役割か、明確ではなかった」と指摘。管理側の責任の所在を明確にし、再発防止へ、つなげると説明した。

 不祥事の撲滅だけが使命ではない。巨人は80年以上の歴史を持つ老舗で、22回の日本一、45回のリーグ優勝を誇る。だが「『巨人は特別な球団なんだ』というおごりがあり、そこからくる、たるみや怠けが球団全体の中にあったと思います」と自戒を強調。その上で「強い巨人を取り戻していくことが、私の役目」とした。読売新聞グループの代表取締役社長が球団オーナーに就任するのは白石氏以来。本腰を入れた改革が進められる。【為田聡史】

 

<新オーナーに聞く>

 -新オーナーに就任した今の気持ちは

 「プロ野球の球団というのは、本来はこれぞ野球の醍醐味(だいごみ)というのを示していくのが本来の役目。そういう点から考えると巨人の現状は相当、はるか手前のところで問題を起こしている。そのマイナスからいかに本来あるべきところまで戻していくか。全力で取り組まなければならない」

 -今回の一連の不祥事についてどのような感情を抱いているか

 「情けないというふうに感じています」

 -今後の具体的な対策は

 「紀律委員会という組織を野球賭博事件をきっかけにつくった。この中のメンバーの数名を選んで、小委員会をつくって、ディスカッションをしたい」

 -現状の戦力をどう見ているか

 「接戦に勝ちきれないのは救援陣が手薄なためではないかと。リリーフ陣の配置換え、先発の鍬原をリリーフに持っていくというようなことをしている。今度は先発が足りなくなるが、今のところはヤングマン、メルセデスが頑張ってくれているので、このようないい循環をもたらしてくれることを願っている」

 ◆山口寿一(やまぐち・としかず)1957年(昭32)3月4日生まれ。早大政治経済学部から79年に読売新聞に入社。記者としては社会部や司法担当などを長く務める。東京本社専務取締役などを経て、15年6月に東京本社代表取締役社長、16年6月に読売新聞グループ本社代表取締役社長に就任した。巨人では常勤監査役、非常勤取締役、取締役広報担当を歴任。16年からは日本相撲協会の外部理事も務めている。