阪神は今日24日から長期ロード前最後の甲子園で首位広島3連戦に臨む。3連勝なら7差に迫れるが、3連敗すれば自力Vが消滅する正念場。期待は右足の腓骨(ひこつ)骨折から再起し、2戦連続本塁打や盗塁敢行などハンパない活躍でチームの2連勝を導いた糸井だ。23日、患部はまだ完治していないことが判明。整形外科の専門医も「常識からするとプレーは想定外」と驚く奇跡の男が、チームの奇跡を起こしにいく。

 酷暑の甲子園で、負けられない戦いが始まる。首位広島に3連勝すれば7ゲーム差。だが3連敗すれば26日に自力優勝が消滅。希望をつなぐのか、それとも絶望感だけが漂うのか。阪神期待のキーマンは糸井だ。

 20日の2軍戦で実戦復帰。度肝を抜く1発を放ち「行くぞ横浜!」と叫んで甲子園を出た。宣言通り、21日は敵地DeNA戦で1軍に再合流。4番復帰即アーチを描くと22日も、グイッと踏み込んで柵越え。“3戦連発”を披露し、チームの2連勝を呼び込んだ。

 実はまだ、骨は折れたままとみられる。打席では患部の衝撃を防ぐための特注レガースを装着。それでも痛みをこらえて右足で踏ん張り、本塁打を連発した。窮地の虎を救うべく、文字通りの強行出場。球団関係者は「次の検査でレントゲンを撮ってみないと。完全に治ったから試合に出ているわけではない」と衝撃の事実を明かした。

 それでも糸井はすごかった。22日のDeNA戦は初回に先制適時打を放った直後に、なんと二盗を敢行。全力スタートで果敢なスライディングも決めた。アウトにはなったが、骨折しているとは思えないアグレッシブさで勝利への執念を体現。金本監督もこの日「ビックリするけどな。(状態は)150%で行かんとな。(足の不安は)ないんじゃないかな。行くということは」と驚くほど、自然体を装ってプレーしている。

 今日24日に対戦する広島ジョンソンとは好相性の追い風もある。今季は1本塁打を含む6打数5安打で打率8割3分3厘。阪神移籍後の2年間でも13打数8安打で打率6割1分5厘と打ちまくっている。だが糸井も大事な3連戦と熟知するからこそ、表情を引き締めた。「チームがどこであれ、1試合1試合やるだけです」。

 闘志全開で復帰した4番糸井の気迫に導かれるように、直近のDeNA戦2試合は、ロサリオも連発するなど7点、11点と打線が爆発。「この勢いで広島戦に」と問われた金本監督も「打線としては行きたいわな」と期待は大きい。いまだ骨折中だが、平然と打席に向かう。すべては大逆転優勝のために。男・糸井が決死の覚悟で、広島との大一番に挑む。【真柴健】

 ▼阪神は24~26日の広島3連戦に●●●のとき、今季の自力優勝の可能性が消滅する。27日以降、広島は阪神戦残り11試合に全敗しても、他球団に全勝すれば98勝44敗1分けで最終勝率6割9分。同じ期間に阪神は残り60試合に全勝しても97勝45敗1分けの6割8分3厘に終わり、広島に及ばない。