ヒヤリとした。日本ハムは一方的な展開で楽天に2連敗。6回には、左肘を痛めている中田翔内野手(29)が、空振り三振後に顔をゆがめる場面があり、7回の守備から退いた。この日、抑えの石川直也投手(22)が、右内転筋の肉離れで出場選手登録を抹消。手負いの4番に、若きストッパーの離脱と、これから迎える夏本番の戦いへ、不安が募った。

 回りかけたバットに急ブレーキをかけた瞬間、左肘が悲鳴を上げた…ように見えた。0-7と一方的な展開になっていた6回、空振り三振に倒れてベンチへ引き揚げた中田は、左肘を気にしながら、苦痛に顔をゆがめていた。もともと、13日の球宴第1戦で中日松坂の投球を受け、痛めていた部分だ。7回2死二、三塁で3番近藤が打席に立った際、すでにネクストバッターズサークルに姿はなく、7回の守備から退いた。栗山監督は「全然、大丈夫」としたが、中田本人は報道陣の質問に一切、口を開くことなく、ぶぜんとした表情で帰りのバスに乗り込んだ。

 守っては6回までに大量8点を先行され、打っては今季初対戦の楽天古川攻略に手を焼いて、救援陣から1点を返すのが精いっぱい。指揮官は「楽天の状態がいいのは分かっていた。とにかく全員でやっていくしかない」と、徒労感を打ち消した。

 試合前から、不穏な空気が漂っていた。今季9セーブを挙げている抑えの石川直が、右内転筋の肉離れで戦線離脱。前日24日楽天戦では1回を1安打無失点に抑えたが、吉井投手コーチは「マウンドでのしぐさが少しおかしかったので、嫌な予感がした」。一夜明けた25日の練習前に、遠征先の仙台から東京都内の病院へ急行した。精密検査の結果、軽度(1度)の肉離れで、試合復帰までに3週間を要する見通しという。栗山監督は「いろいろなことが起こる時の方がチャンスだと思っている」と話していたが、大きな戦力ダウンになったことは否めない。

 2連敗で、後半戦に入ってから3カードのうち2カードで負け越し。楽天戦前には0・5差と近づいたはずの首位西武の背中は、再び2・5差と遠のいた。記録的な暑さに加えて、欠けた勝利の方程式。手負いの4番。過酷な夏が、始まろうとしている。【中島宙恵】