ヤクルト山田哲人内野手(26)が打って、走って、今季2度目の6連勝を呼び込んだ。0-1の9回1死では安打で出塁後に二盗に成功し、雄平の同点打を演出。1-1の延長11回無死二塁では、中前に決勝適時打を決めた。投手陣も計7人が1失点リレーを決めるなど、投打で執念を見せて2位を死守。3度目のトリプルスリーを射程圏にとらえる山田哲が、チームをさらに上へと押し上げる。

 勝負どころで、頭に描いた通りの打球を放った。1-1の延長11回無死二塁で、相手は巨人上原。「進塁打」を狙うのが定石だが、山田哲の思考はその上をいっていた。「逆方向を意識して、欲を出さずに進塁打の気持ちで。でも二ゴロとかじゃなくて、安打を狙いにいきました」。カウント2-1からのフォークを大振りせず、イメージ通りの軌道で中堅右に運んだ。6連勝を決めた立役者は「勝てて良かった。チャンスでしっかり仕事ができて良かった」と声を弾ませた。

 無得点負け寸前の9回は同点劇を足でアシストした。1死から右前打で出塁し、次打者バレンティンの初球に22個目の盗塁に成功。遊ゴロで三塁を陥れてマシソンに重圧をかけ、雄平の同点打を演出した。「必死こいて塁に出ました。自分で言うのも何ですけど良かった」と目尻を下げた。

 打席内での思考法の変化が殊勲打の下地にある。昨季までは次打者席で頭を整理し、打席では自分のスイングをすることに集中しようとしてきた。だが相手の攻めも年々多彩になり、さらなる対応が必要だと痛感。「元々は『打席では無心でいたい派』だったけど、今は場面、場面でやるべきことを意識してます」。チームに求められる結果を出すには、どういう球を、どう打てばいいのか。その状況での最高のひと振りをしっかりイメージして雑念も払い、集中力を高めて最高の結果へとつなげている。

 投手陣も初回の1失点以降は集中を切らさず、打線の援護を信じて7投手が1失点で踏ん張った。ロースコアの熱戦を制し、前回3タテを食らった巨人へのリベンジに成功。山田哲は「こういう試合が続いているけど、絶対に実力だと思う。自信を持っていいと思うし、こういう試合が多くなるほど上にいける」とうなずいた。首位広島の背中はまだ遠くにある。だがチームが一丸となって1歩ずつ迫っていくイメージが、山田哲の頭には鮮明にできあがっている。【浜本卓也】