中日が球界5年ぶりの「2点犠飛」で勝負を決めた。1-1の3回1死満塁で、大島が中堅に打ち上げると、阪神守備陣の乱れに乗じて二塁走者の京田が一気に生還。「打点2」がつき、これが決勝点になった。活発な打線は先発全員の13安打で7得点。ガルシアが7回2失点でハーラートップに並ぶ11勝目と投打がかみ合い3連勝。今日1日も勝てば最下位を脱出する。

 同点の3回1死満塁。大島が放った低めの弾道の飛球は、少し揺れながら中堅俊介の頭上を襲った。「たまたま回転がおかしくなった」と大島。俊介が倒れ込みながら捕球したが、立ち上がるのが遅れ、カットマンへの返球もそれた。三塁走者はゆっくり生還。それどころか、二塁走者の京田も1度もスピードを緩めず本塁に駆け込んだ。

 記録員は「打点は2」と発表。守備側に失策に該当するミスはなかったとの判断だ。ナゴヤドームのビジョンには大島の打撃結果に2打点を意味する「犠飛<2>」が表示された。

 球界では13年9月14日にロッテ鈴木が西武戦で記録して以来の珍事だった。大島も京田も「初めて」と振り返り、森監督も「なかなか見られるものじゃない」。試合後の京田の言葉にも驚かされた。「最初から本塁に行くつもりでした」とサラリと言った。

 新人王を取った昨年から、驚くような積極走塁を見せてきた京田の面目躍如。「(俊介の)体勢も悪かったし、打球も不規則だった。行くつもりでいたら(三塁コーチの)奈良原さんも腕を回していた。チームには荒木さんら、走塁のうまい人たちがたくさんいる。追いつけるようにしたい。守備と走塁で貢献したい」。アマ時代からこだわり抜いてきた走塁に、同じく俊足の大島も「素晴らしい」と称賛した。

 この2点犠飛で勢いづいた打線は先発全員13安打で7得点。27日の巨人戦(東京ドーム)で山口俊に無安打無得点を食らったが、翌日から意地を見せて3連勝だ。今日1日は復帰戦の松坂が先発。勝てば最下位脱出で、8月反攻へ最高のスタートが切れる。森監督は「7月は1つ負け越し。8月は(松坂)大輔から。夏休みの楽しい思い出になる投球をしてほしい」と逆襲の快投を期待した。【柏原誠】

 ◆直近の2点犠飛 13年9月14日の西武-ロッテ戦(西武ドーム)の7回1死満塁。ロッテ鈴木の大飛球がバックスクリーン方向へ飛んだ。前進守備だった中堅秋山が背走しながらフェンス際で好捕したが、三塁走者のGG佐藤が楽々生還。さらに二塁からタッチアップしていた角中も一気にホームを陥れた。角中は「全力で走るのが当たり前です」と胸を張り、伊東監督は「状況判断と準備ができていた」と絶賛した。