クローザー対決は、22歳の若き右腕に軍配が上がった。日本ハムは高卒4年目の石川直也投手が9回を3者凡退に仕留め、4-3でロッテに競り勝った。石川直は右内転筋の肉離れから復帰後、初セーブで今季10セーブ目。9回に近藤健介捕手(25)の左犠飛で挙げた1点のリードを守った。チームは白星で9月スタート。残り26試合、負けられない戦いが続く。

ニコリともせず、クールに振る舞う姿が頼もしい。リードは、わずか1点。しびれる場面でマウンドに上がった日本ハム石川直は「やっぱり、気持ちいいな~と感じました」と、伸びやかに躍動した。右翼を守る大田の好守備に助けられ、先頭のロッテ藤岡を右飛に打ち取ると、続く中村、井上の中軸を、鋭く落ちるフォークボールで空振り三振に仕留めた。7月22日ソフトバンク戦(札幌ドーム)以来となるセーブを手にし、涼しげに捕手の清水とハイタッチした。

「直球もフォークボールもカーブも、すべて狙っているところに投げられたので良かったです」と、自画自賛の10球だった。ロースコアのシーソーゲームは、8回を終えて決着つかず。9回、味方打線がロッテのベテラン守護神から粘り強く勝ち越し点を奪い、迎えた出番。完璧に近い仕事ぶりに、栗山英樹監督(57)は「安定してきたね。いいボールだった。これを続けてくれたら」と、期待を込めた。

高卒4年目。今季は開幕直後から抑えに抜てきされたが、好不調の波もあって、固定には至らず。ブルペンの先輩たちに助けられながら、迎えた7月。ついに体が悲鳴を上げた。今季29試合目の登板となった7月24日楽天戦(楽天生命パーク)の試合中、右内転筋に違和感を覚えて、約1カ月の離脱。肉離れだった。「6連戦の多い時期に抜けてしまって、申し訳ないし、悔しかった。自分では感じていなかったけど、疲れていたのかなと思う」。体を鍛え直し疲労回復に努めたことで、直球の伸びは当初の勢いを取り戻していた。

今後は浦野と併用で抑えとしてブルペン待機する予定だが、将来的な目標は絶対守護神だ。石川直は「(セーブは)まだ10個。残り試合で、どんどん稼ぎたい」。静かな口調に、野心がのぞいた。【中島宙恵】

▼日本ハム石川直が自身初の2桁セーブを挙げた。北海道に本拠地移転の04年以降、2桁セーブは7人目。04年に28セーブで最優秀救援(現最多セーブ)に選出された横山、06年に39個で最多セーブを獲得したマイケル中村、09年から5年連続2桁で3度タイトル獲得の武田久、14年から4年連続2桁を記録した増井の4投手が複数回マーク。ほか16年マーティンが21、今年のトンキンが12セーブを挙げている。同一年で複数の2桁セーブは04年以降、16年(マーティン、増井)に続き今年で2度目。