日本ハムが今日8日、北海道胆振東部地震発生から最初の公式戦、楽天戦(楽天生命パーク)に臨む。先発するエース上沢直之投手(24)は、札幌市内の合宿所で被災。北海道・本別で獣医師を務める姉も被災しており「特別な登板になる」と決意を示した。チームは7日、新千歳空港から空路で仙台入り。混乱のまっただ中にある北の大地を、全力プレーで勇気づける。

目の前に起きた現実を受け止めて上沢が立ち向かう。被災後最初の試合の先発マウンドに立つ、真っすぐな思いを打ち明けた。

上沢 北海道が被災して初めての試合の先発をやらせてもらう。何か、意味があると思う。神様から「被災された方々を勇気づけなさい」と、言われている気がする。試合が出来るのか、試合をやっていいのか。いろいろな思いがありましたが、チームを勝ちに導いて北海道のみなさんを元気づける投球をしたい。明日は、特別な登板になる。

6日午前3時7分ごろ、上沢も札幌市内の合宿所で被災した。「寝ていて、揺れを感じて跳び起きて廊下に出ました」。札幌から約180キロ離れた、帯広に近い本別町には牧場で獣医師を務める姉も在住しており、被災した。「お姉ちゃんも昨日は電気が来ていないと言っていた。牛のミルクもムダになってしまうと…」。合宿所はこの日も停電、断水が続き、自らも不自由な生活を強いられた。

練習もままならない状況で、合宿所内の芝生の中庭でキャッチボールをしたのが、最終調整となった。精神的な疲労も少なからずある。コンディションは万全ではない。ただ、北海道に本拠地を置くチームに在籍するプロ野球選手として、課された使命感は強い。

上沢 不安は特にないです。みんな苦しんでいる中で、投げさせてもらえる。野球をやらせてもらえるのも感謝。被災者の方々は野球どころじゃないと思います。そんな中でコンディションどうこうじゃない。いろいろなものを背負って、頑張りたいです。

エースが見せる姿は必ず、復興への推進力となる。【木下大輔】