今季限りで現役引退するソフトバンク本多雄一内野手が3日、ヤフオクドームで会見した。

本多は「今シーズンをもちまして、プロ野球13年間の現役生活を引退することをみなさんにご報告いたします。みなさんには大変お世話になりありがとうございました」とあいさつ。「正直、この日が今くるかとそれが率直な気持ちですし、まだこの場にいることが自分でも信じられないですし、同時に13年間の重いが走馬灯のように思い浮かんでいます」と心境を語った。また、引退試合は本拠地最終戦の6日西武戦で行われる予定。一問一答は以下の通り。

-今の心境は

本多 後悔はないです。今は。いろいろ13年間の思い出。きついとき、苦しいとき、うれしいときのために13年間やってきました。でも、後悔というのは全くないですけど、寂しさというのはあります。

-引退に至った理由は

本多 プロ13年間やらせていただきまして、12年に首の方を痛めて、それから約6年プレーしてきましたが、14年から3、4年は痛みが出たり出なかったり。出れば薬を飲みながらという時期が続いてきた。今年くらいからは首の痛みが出る回数も多く、思うようにプレーできず、やる気はあったんですけど、反対に体の方は痛みが出て、自分が納得する動きができなかった。そういうこともあり引く決断をしました。

-引退を決めた時期は

本多 決めた時期というのは、決めたくはなかったんですけど、でも決めないといけないのが現実で、まだやれるんじゃないか、自分でもまだやれるってずっと考えていました。でもやっぱり首のことを考えると、痛みが出て野球ができない時期が続くのはもう嫌だ。気持ち的にすごい沈む時期がありました。そういう思いもあり、決断に至りました。

-ここ数年チームをどう見ていた

本多 全力バリバリでプレーしている時期も、プレーできない時期もありました。その中で選手の活躍というのがすごい刺激になりました1人1人のプレー、ひとつの活躍を見て、僕もああやってやってたんだな、走ってたんだな、お立ち台に立ってたんだなという思いがすごく出てきた。選手のおかげでまたあの場所に立ちたいと思うようになったのは確かです。もう1度あの場所に戻りたい、その一心で今年2軍生活を送っていました。

-350盗塁への思いは

本多 今現役の中では歴代3位と。あらためてその数字を見ますと、ルーキーの頃を考えると、よく走ったなと自分でも思います。同時に350盗塁が目標ではありました。やっぱり首のこともあり、思うように結果が出ないこともあり、成績不振で2軍行きになり。そのすべては自分の責任であり。だからこそ奮起できたのだと思います。達成したい気持ちは100%ありました。でも今できていない現実を考えますと、考え方が合っているかはわかりませんが、342盗塁でもよくやったんじゃないかと自分でも思います。

-周囲と相談した

本多 もちろん家族にも。子どもはまだわかりませんが、家内の方にも、両親の方にも、今まででお世話になった方にも相談というか報告はしました。その中で特に両親は「あなたの野球人生」と。「とやかく言うつもりはない。自分で決めたのであれば納得する」と言ってくれた。一方、家内の方はその現実を受け入れることができず、悩んだ時期が何日かありました。僕の方より家内の方は気持ち的に沈んだんじゃないかなと思います。その中で、いつかは決断しないといけない。引退するけども、自分がしっかりしないといけない。時がたつのは早いので、答えを早く出さないといけない。そう思いながら家内と相談しながら、いろんな言葉を掛け合い話し合いました。今はもう家内も納得していますが、かなりの時間がかかりました。両親と家内だけではなく、携わったみなさま、特に僕はスラッガーというメーカーを使わせていただいていたのですが、僕の担当者の方は毎日、毎時間、電話をいただき、精神的にも気にしていただいた。きついはずなのに自分のことを盛り上げてくれて、精神的にもカバーしてくれて、そういう思いもあり決断に至ったと思います。

-印象に残った言葉は

本多 自分を元気づけようとしてくれたのかもしれないですけど、「お前はよくやった」と。よくやったかどうかは周りが決めることだと思っているので。周りのそういう言葉。「よくやった」。「自分で決めたのなら納得する」。そういう言葉を耳にして、自分のことは自分で決めないといけないとあらためて思いましたし、決心することができました。

-一番の思い出は

本多 初めてリーグ優勝した2010年、最終戦で優勝を決めたのが印象に残っていますし、その試合で盗塁王を獲得できたのが印象に残っています。

-大事にしてきたことは

本多 プロ野球というのは結果がすべてと言う方もいます。もちろんそうだと思います。結果を残すために練習、準備これを怠らずに。野球だけじゃなくてどんな仕事でもそうだと思います。球場に早く来て、練習前の自分の練習。準備の大事さをわかってきたので、結果とかではなく試合に対する意気込み、準備が大事なんじゃないかなと思いそれを毎日やってきました。準備がなければいいパフォーマンスもできないでしょうし、特に自分の気持ちが落ち着かない。練習しないといい結果、いいパフォーマンスができない。そういう思いでやってきた。すべては自分のためなので、準備を怠るとばちが当たるんじゃないか、そう思いながら1日1日を大事にしてきました。

-先輩の杉内や、同年代の大隣も引退

本多 まず先輩である杉内さんの引退を聞いて、正直ショックは大きかったです。プロになってからもそうですけど、中学校からの大先輩である杉内さんが鹿児島実業に行き、三菱長崎に行き、同じルートを通った自分が同じ年に引退するのは少し情けないと思いますけど、さみしかった思いがあります。大隣も誕生日が一緒で仲良くさせてもらい、けがで苦しんだこともあり、振り返るとなおさらさみしいですが、ぼくの引退をわかって、ともに戦ってきた仲間が引退するというのは言葉には言いあらわせられない気持ちもありますし、今日登板すると言うことなので目に焼き付けたいと思います。

-今後は

本多 13年間やらせていただき、この球団に残れることが一番だと思っていますが、まだそこからはしっかり話し合い決断していこうと思います。

-今後のチームへ

本多 ホークスというチームは常勝軍団だと思っていますし、強いホークスをさらに強くするために日々精進してもらいたいと思います。選手1人1人勝とうと思ってやっていると思いますし、強いホークスを継続していってほしいと思います。

-ファンの存在は

本多 プロに入り、いろんなファンの方がいらっしゃいます。1人1人大好きな選手も違うと思います。その中で本多雄一という選手を好きになって、ファンになってくれたみなさま。自分のことではないのに、盛大な声援をくださる。自分の時間を削ってでも応援してくださる。そういうことを考えると、準備を怠れない。あの試合の中で拍手をいただきたいからパフォーマンスしますし、ファンの声援がなければここまで来ていないなと思います。いいときも悪いときも「ポンちゃん」と。応援しているというお言葉をいただき、ここまでやってこれたんじゃないかと思います。声援は想像しているよりすごかったですし、すばらしかったですし、そのおかげでプレーできたと思います。

-今日も球場前にファンが集まった

本多 みなさん足を運んでくださる。それもひとつの自分の時間を割いてまで足を運んでくださるそういった感謝の思いは常々忘れていないつもりです。

-ファンへひと言

本多 両親、家族、親戚、身内はもちろん、身内でもないファンの方が応援してくださることは当たり前と思っていけないと思う。応援団を始め、ファンの皆様はどんなときでも叱咤(しった)激励、応援していただき、誠にありがとうございました。ありがとう、感謝では示せないくらいファンの方には大変お世話になりました。これからもこの先の人生でもどうなるかわかりませんが本多雄一をよろしくお願いします。

-一番印象に残っている盗塁は

本多 342盗塁やってきましたが、ほとんどが印象に残っていますし、しかし初盗塁、初めて取った盗塁王の瞬間は忘れません。

-引退試合へ意気込み

本多 最後の1試合になると思ったら寂しいんですけど、今まで野球をしてきて、心の底から楽しいと思ったことはそんなにないんじゃないかなと思う中、最後の引退試合は思う存分楽しみたいと思います。感謝の気持ちを持って試合に臨みたいなと思っています。

-囲み取材、会見を終えての心境は

本多 半分ホッとしています。本当に引退するんだという実感がわいてきました。

-ソフトバンク一筋で引退

本多 FAもありましたし、他に行く選択肢ももちろんありました。記録を伸ばすためには、去年も試合に出られないときは考えたこともありました。でも今思うと、13年間福岡でお世話になった。記録よりお世話になったところでしたい思いが強かった。

-最初に報告したチームメートは

本多 同期の松田さんですね。最後に会ったときに、ご飯を食べながらいろいろな話をした。首のことも話していました。松田さんには負けたくなかったので。言いづらかったですけど、電話して引きますと伝えました。

-今後について希望は

本多 引退して球団に残れない方がいらっしゃる中で、残れるだけでも幸せなこと。球団に残れることが一番。欲は言えないですが。指導者に回れることがあれば、今までの引き出し、コミュニケーション、経験を生かして前に進みたいと思います。