指名確定で即、根尾詣でに行くぞ。中日与田剛新監督(52)が24日、今日25日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」を前に都内で編成会議に出席。12球団最速で大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)の1位指名を公表しているが、争奪戦を制して交渉権を勝ち取れば、「その日の内に大阪に入る」と宣言した。東京から大阪へ、異例の即日あいさつで根尾命を伝える。

新監督としての初仕事で熱い思いがほとばしった。運命のドラフト前日。会場となる新高輪プリンスホテルの一室で、与田新監督は直前の編成会議に出席した。約3時間半、休憩時間なしのぶっ続け。矢野球団社長、西山球団代表、森シニアディレクター(前監督)、松永編成部長、米村アマチーフスカウトらと、膝を突き合わせた。

中日は10月5日に12球団最速で大阪桐蔭・根尾の1位指名を公表。この日は、外れ1位で立命大・辰己涼介外野手(4年=社)らをリストアップするなど、上位12選手の説明を受けた。「スタッフの思いをできるだけかなえるようにしたい。全て思い通りにはいかないのは100%分かっている。でも思いをぶつけたい」。新監督として挑む初のドラフト成功に思いをはせた。

巨人がこの日根尾1位を公表するなど、複数球団の大争奪戦に発展する。監督就任時には、「手を消毒する」とリップサービスしたが、本心は違った。宝くじや競馬もしたことがないという新監督は、現役時代も「(験担ぎや)ルーティンはなかった。そういうのに任せると(勝負の)原因と思ってしまう」と信念がある。「中日の監督になれたことや楽天の投手コーチになれたのは運が良かった。そういう流れが出ればいい」。23年ぶりにドラゴンズに監督として復帰した強運にかける。クジを引くのは右手。現役時代に最速157キロの剛球を投じてきた右腕に命運を託す。

「新監督の意向を聞きながら、シミュレーションをした」と米村スカウト。しかし、与田新監督の頭に浮かぶのは、根尾を引いた場面だけ。すでにその後の行動の青写真もできていた。「行けと言われれば、その日に行きます。明日は大阪に行ける身支度をして会場入りします」。根尾の1位指名を引き当てれば、監督自ら即日移動。東京から大阪へ、異例となる当日夜のあいさつも辞さない構えだ。根尾1位公表が12球団最速なら、誠意を示すのも最速。かつての竜の剛球ストッパーが、体を張って「根尾命」の情熱を表現する。【伊東大介】