ドラフト前日に「小園株」が急上昇した。報徳学園・小園海斗内野手(3年)の1位指名重複が24日、確実となった。各球団が25日のドラフト会議に向けたスカウト会議を実施。ソフトバンク、オリックスが相次いで「小園1位」を明言した。高校球界屈指の遊撃手の運命はくじに託されることになった。また、大阪桐蔭・根尾1位を明言した巨人を含め、この日までに1位指名を明らかにした球団は6球団となった。

午後5時過ぎ。都内の高級ホテルが慌ただしくなった。スカウト会議を終えて部屋から出てきたソフトバンク王貞治球団会長(78)は報道陣に囲まれると歩みを止めた。「1位は小園選手で決まった。運動能力、守り、打撃もいい」。大阪桐蔭・根尾とてんびんに掛けて悩みに悩んだ末の結論。ソフトバンクの1位指名公表は、例年でも類を見ない。異例中の異例だった。

それから数分後。別の部屋から出てきたのは、オリックス長村裕之球団本部長(59)だった。「たくさんいい選手がいてみんなほしいけど、内野手の小園君でいきます。将来的にレギュラーを取れる存在。内野手の要になれる」。オリックスの1位指名も、最有力としていた小園。昨年のJR東日本・田嶋に続き、前日に公表する戦略を取った。

ドラフト前日の相次ぐ公表は、他球団にも影響を与えた。同じホテルで会議を行っていた広島は、結論を当日に持ち越すとした。小園を1位指名有力候補に挙げているとみられるが、会議中に2球団公表の情報が飛び込み、この日欠席した緒方監督を交えての練り直しを余儀なくされた。

運命は抽選に託される。くじを引くオリックス西村監督は「自信はあります」とキッパリ。ロッテ監督時代の競合抽選で2勝1敗の戦績を誇る。「選手の一生がかかっている。オリックスで頑張ってもらいます。それくらい強い気持ちでいかないと取れるものも取れない」。ソフトバンク王球団会長は「単独とはならないだろうから(工藤)監督には頑張ってもらって」と、黄金の右手に期待。工藤監督は昨年は7球団競合の清宮から3連敗も、15年には3球団競合の高橋純、16年は5球団競合の田中を右手で引き当てている。根尾とともに小園の運命にも注目が集まる。【桝井聡】