<SMBC日本シリーズ2018:広島5-1ソフトバンク>◇第2戦◇28日◇マツダスタジアム

瀬戸内海へとつながる広島・天満川の川沿いを歩くと、覆い茂った木々の合間から乾いた金属音が聞こえてくる。春夏計43回甲子園に出場し、春1回、夏6回の全国制覇を誇る広島商。犠打やスクイズ、盗塁など小技を重視する精神野球で「広商(ひろしょう)」の愛称で高校野球ファンに親しまれた。昼すぎ頃、校舎に隣接する校庭はフリー打撃の真っ最中だった。70メートルほど先の右翼後方に校舎が立ち、中堅後方では女子ソフトボール部が練習していた。ここに金属バットを持ったソフトバンク柳田がいたと思うと恐ろしい。

ともに野球どころの「福岡VS広島」の対戦。ご当地選手はソフトバンク7人、広島にも7人所属し、地元を重視したチーム編成を行うが、第2戦に先発したのは広島出身のソフトバンク柳田と福岡出身の広島安部だった。今季の12球団選手(育成除く)の出身地ランキングは<1>大阪65人<2>神奈川43人<3>兵庫41人<4>福岡40人<5>東京38人<6>千葉34人<7>愛知32人<8>埼玉26人<8>沖縄26人<10>広島25人…と続く。

意外と少なかった10位広島の代表格の柳田は、広島商時代について「バリきつかったイメージしかない。今も学校に行くだけで、当時の厳しさを思い出すでしょうね。(自転車通学で)後ろから先輩が近づくと、降りてあいさつしたりしてました」と語っていた。7回に日本シリーズ初安打を放ったが、広島は東京出身の4番鈴木が3安打3打点、鹿児島出身の5番松山は2試合連続適時打を放ち、神奈川出身の1番田中が3安打で流れを呼び込んだ。

広島商は04年夏を最後に甲子園から遠ざかり、ソフトバンクは1分け1敗で福岡に帰る。広島商OBの達川ヘッドコーチは「(広島ジョンソンは)日本一になろう思ったら、もう1回必ず当たる。倒さないけん相手。良かった言うてしもうたら、もう終わりじゃもん。プロとして、相手がいい時にどうやって攻略するか。じゃろ?」と、バスに乗り込んだ。【前田祐輔】