来季の正捕手は俺だ! 阪神原口文仁捕手(26)が11日、矢野新体制の初実戦となった秋季高知・安芸キャンプの紅白戦で、特大弾を含む2安打と奮闘。守っても快足植田の二盗を阻止し、ムードメーカーとしても猛アピールした。矢野燿大監督(49)も“打って良し、刺して良し、元気良し”の3拍子を高評価。来季の正妻争いについて「間違いなく入ってくるんじゃない」と梅野らとのゲキ熱バトルを期待した。

原口が正捕手奪取をアピールする豪快な1発を放った。5番捕手で出場し、2回1死走者なしで迎えた第1打席。カウント2-1、小野の4球目だ。真ん中高めにきた142キロの直球を完璧にとらえると、打球は左翼席奥のネット上段に突き刺さった。矢野阪神初実戦の紅白戦。いきなり光り輝いたのは背番号94だった。

「練習していることが、今日は出せたかなって感じですね。自分の中でしっかり打てたことは良かった」

矢野阪神1号に続き、6回には1死一塁から、島本の内角低めの直球をとらえて左前打。どちらの打席も一振りで仕留めた。矢野監督は「いや~、さすがやね。本当に。2つとも1発で仕留めたのかな。ファーストスイングで仕留められているというのは」と絶賛。今季は代打で23安打を放ち、桧山進次郎に並ぶ球団タイ記録をマークしたが、獲物を一撃で仕留める勝負強さは大きな武器だ。

捕手としても見せた。3回1死から青柳が植田を四球で歩かせ、続く島田の打席の2球目だった。スタートを切った植田を矢のストライク送球で刺した。それでも原口は「全然まだまだ。今年もなかなかゲームに出られなかったので。紅白戦で1試合守ったからどうとかじゃなく、来年につながるように」と向上心はとどまらない。

攻守以外でも存在感を発揮した。今キャンプは試合だけでなく、練習中も大声で場を盛り上げている。そんな姿にも指揮官は高い評価点を与えた。

「やっぱり元気がいいよね。原口はよう声が出るからさ。捕手をやっている時もそうやし、一塁に行ってもさ。チームにとって、それはすごく大きい。声を出したら自分も元気になるし、周りも元気づけられる」

今季は梅野が121試合スタメンマスクをかぶってゴールデングラブ賞も獲得したが、原口は9試合止まり。だがこの日は強肩も披露し、16年シーズンで発症した右肩の古傷も心配はなさそうだ。矢野監督は「肩も良くなっているように見える。競争には間違いなく入ってくるんじゃない」と絶賛の嵐。来季の正妻バトルが面白くなってきた。【古財稜明】