今年も魅了した。外野に抜けたと思ったら、広島菊池涼介二塁手(28)のグラブが出てきた。171センチの体が壁になって、打球を止めた。今季の失策は、自己最少となる3つだけの男。「ミッツ(3つ)マングローブ(グラブ?)」と呼んでみるか。

初失策は球宴明けの7月20日、巨人戦だった。7回無死一塁、長野の当たりが一、二塁間を襲い、これを止めた。次に体を回転させて二塁に送球すると、球は左にそれた。菊池は転倒、Eマーク(失策)も点灯した。止めるのも難しいのに送球まで行った末の失策。「E難度のプレーだった」と話している。

守備機会は719。3つの失策があって守備率は9割9分6厘。二塁手の最高守備率は87年の高木豊(大洋)で、9割9分7厘を記録している。その差1厘。ちなみに高木の守備機会は691で、失策数2。菊池の守備機会が28上回るが、「機会均等法」などは用いられない。

菊池は13年の失策19を着実に減らしてきた。ただ、守備機会まで減少傾向にあるのが気になる。堅実に打球を追うだけでは菊池らしくない。宙に舞い、倒れ込んでも、送球してみせる。そんな「極致(菊池?)のプレー」を来季も見たい。【米谷輝昭】