目指せ“殿堂入り”? 阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)ら新人7選手が11日、東京都内のホテルで行われた「NPB新人選手研修会」に出席した。

午前中に見学した「野球殿堂博物館」には16年に新人王を獲得した阪神高山のバットも展示されており、近本も続きたいところ。午後は元中日の岩瀬仁紀氏の講演を聴講。「鉄腕」に続き、近本も1年でも息の長い選手を目指していく。

ふと、近本は立ち止まった。視線の先には、記憶に新しい歓喜の瞬間があった。「昨年(大阪ガスが)都市対抗で優勝したときのユニホームとか写真が飾ってあったので」。午前中に見学した「野球殿堂博物館」に展示されている写真の中には、1番を背負う近本の姿もあった。近本はアマ時代に1度目の“殿堂入り”を果たしていた。だが、再び歩を進めた先には…。さらに気を引き締め直す展示品があった。

1年目に狙うは「新人王と盗塁王」のタイトル。野球殿堂博物館には16年に新人王を獲得した阪神高山のバットも展示されていた。「そこまでは全然、考えられてなかったですけど…」と笑みを浮かべた近本だが、数秒後には「(展示されるよう)頑張ります!」と言葉に力を込めた。

セ・リーグには中日根尾や広島小園ら注目新人がひしめく。「負けたくないとか、ライバル意識はあまりない。誰かと戦うのではなくて、自分に焦点を当てて頑張ります」と冷静。社会人卒の24歳は、焦ることなく自分の歩幅で進んでいく。

活躍を誓うのは新人年だけでない。1年でも長くプロの世界で-。NPBで20年間、第一線で活躍した岩瀬氏の講演を聴講し、改めて感じた。「壁に当たったり、挫折したときは自分しか信じられるものはない。自分の長所、得意なものを伸ばして、信じることができるように練習に取り組んでいく」。近本の武器は勝負強い打撃に加え、50メートル走5・8秒の俊足だ。「足は、チームとしても必要不可欠。年齢を重ねても衰えないようにしていきたい」。最初に目指すは「新人王獲得」で人生2度目の“殿堂入り”。そして、1年でも長く虎を引っ張っていく。【真柴健】

○…近本はこだわり抜いた1本で、プロの世界に飛び込む。NPBでもヤナセのバットの継続使用を決めている。「大学からずっと使ってます。相性がいいので変えたりはしません」。投手から野手に転向した関学大時代に巡り合った。何本か試すうちに「打感がしっくり来ていた。自分は硬いバットが好きなので」と愛用を決定。そこからは「ヤナセバット」で数々のタイトルを獲得してきた。

「打感を大切にしています。自分は軟らかい木よりは硬い方がいいので。ヤナセのバットは、硬いんですけど『包み込む』イメージがある。感覚なので難しいんですけど…」。決めたら迷わない。真っすぐな気持ちで、こだわりを持ってきた。新人年から活躍し、バットを野球殿堂博物館へ。苦楽をともにしてきた“相棒”を飾りたいところだ。