丸をえぐる! 広島3年目の床田寛樹投手(23)が28日、先乗りしているキャンプ地宮崎・日南で61球の投げ込みを行った。すでに今月4度目で、全球種を投げ込む仕上がり。特に左打者をえぐる内角球の精度向上を重点に置く。2年ぶりの開幕ローテーション入りへ、元チームメートの巨人丸をものけ反らせる切れ味を磨いていく。

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思い描いた球筋がホームベースの内側に入ると、マウンドの床田は首をひねった。左肘手術の影響で昨年の今ごろは投球練習もできない状態。だが、今年は早くも4度目のブルペン入り。全球種を使って61球投げ込んだ。特に意識したのは、左打者の内角球。左打席に立つ打者のイメージは、元チームメートの先輩丸だ。

「甘くなるくらいなら、体をのけ反らせるくらい厳しくいった方がいい。1回でも投げれば(内角球が)あると思わせられる」

1軍で3試合先発した17年は右打者への被打率2割5分に対し、左打者は2割1分7厘と抑えた。だが「外だけでは一流の打者は抑えられない」と警戒する。DeNA筒香やヤクルト青木ら左の好打者は多い。巨人へ移籍した丸にも遠慮はしない。「対戦するのが楽しみですね」とニヤリと笑う。

17年に新人でただ1人、開幕ローテ入り。2度目の先発でプロ初勝利をマークした。だが、3試合目に左肘の違和感を覚え、7月下旬に左肘関節内側側副靱帯(じんたい)再建手術と尺骨神経剥離手術で長期離脱。実戦復帰は1年以上たった昨年8月8日のことだった。

1軍登板は17年4月19日を最後に遠ざかる。それでも周囲の期待は高い。定評のある制球力に加え、合同自主トレを視察した首脳陣は「いい球投げているな」と口をそろえて評価していた。長い地道なリハビリを乗り越えた今、ただ投げられることに満足はしない。「この2年間は何もしていないので、チームに貢献したい思いが強い」。空白期間を埋めるだけでなく、成長した姿を見せるつもりだ。

広島の開幕ローテは昨年2冠の大瀬良とジョンソンの2投手のみが内定。3番手以降は決まっていない。野村や岡田、九里らとの争いは激しさを増す。貴重な左の先発として左打者を封じる武器を磨き、2年ぶりの開幕ローテを狙う。【前原淳】

◆床田寛樹(とこだ・ひろき)1995年(平7)3月1日生まれ、兵庫県出身。箕面学園では甲子園出場なし。中部学院大から16年ドラフト3位で広島入団。17年に3試合に登板し初勝利も挙げたが、昨季は1軍登板なし。181センチ、85キロ、左投げ左打ち。