決意の先乗りだ。巨人から移籍した広島長野久義外野手(34)が29日、春季キャンプ地の宮崎・日南に入った。チームに1日も早くとけ込もうと、30日に打ち上げ予定の合同自主トレに参加する予定だ。実績十分の30代選手が先乗りするのは、異例。リーグ4連覇&日本一に貢献するため、「広島の長野」が第1歩を踏み出した。

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移動の疲れも見せず、長野は真っ白なワイシャツにも負けない爽やかな笑顔で宿舎入りした。空路で宮崎の地に降り立つと、昨年まで慣れ親しんだサンマリンスタジアムを通り過ぎ、そこから約1時間、車に揺られた。約40キロ南に位置する日南市が新たなキャンプ地になる。道程には青い空と鬼の洗濯板と呼ばれる波状岩が広がっていた。「ちょっと遠かったですね。でも景色がきれい」。日南海岸を眺めながら、新天地への気持ちを高めた。

広島のキャンプ地先乗りは1軍メンバーがほぼ参加する巨人とは異なり、若手中心で今年の参加は14人。1学年下の松山も参加しているが、長野のように実績ある30代選手が参加するのは異例。30日に合同自主トレを打ち上げるだけに、実質的な練習参加はわずか1日しかない。それでも直訴して先乗りしたのは理由がある。「いきなり2月1日にユニホームを着て、『よろしくお願いします』だと大変。1日、2日でも早くみんなと少しでも顔を合わせておきたかった」。チームに溶け込むため。何よりチームに貢献するための選択だった。

宿舎入りのときに偶然現れた松山には「おっ、松山君、よろしくね」と両手でがっちり握手をかわした。「楽しみにしているし、ルールもあると思うので、みんなに聞きながら早く慣れたい」。広島ナインは歓迎ムード。先乗り合同自主トレ最終日の30日には打ち上げを兼ねた長野歓迎会が催される。先乗り組では最年長も、新天地ではピチピチの1年生。広島の選手として、覚悟を示した行動だった。【前原淳】