ソフトバンク工藤公康監督(55)が29日、就任以来続けてきた主将制度を今季は廃止することを明かした。この日、ヤフオクドームで監督、コーチ会議を開催。「1人1人が、自分が引っ張るんだという強い意識を持つことが大事」と説明した。経験豊富なレギュラー陣それぞれがチームを引っ張る大人のチームへと進化させる。

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就任5年目のキャンプインを前に、工藤監督が主将廃止を決めた。会議でもコーチらに伝えた。

工藤監督 今年は主将制度を置かない。選手1人1人がしっかりと自覚を持って、自分が主将だというくらいの強い気持ちを持って1年間戦ってもらいたい。

15年に就任すると、当時不在だった主将に内川を任命。内川は球団最長タイの4年間、大役を務めてきた。本人にも昨年、電話で考えを伝えたという。内川はここ2年故障に泣き、1軍にいない時期も多かった。工藤監督は「野手最年長だし、これまで通り頼むと話をしている」と説明。内川だけでなく選手それぞれの自覚を持たせることが、リーグV奪回への道だと考えた。

昨季も選手会長の柳田、元気なベテラン松田宣、陰のまとめ役川島らがチームを引っ張った。今季から4年契約を結んだ中村晃、今宮も自覚十分。東浜、森は投手陣のリーダー役に名乗りを上げ、千賀もエースとしての責任感を強めている。「実績ある選手が多い。もう1回、初心に戻って、相手より勝利への強い執念を持っていないといけない」と、シーズン2位で終わった悔しさを晴らすための策であることを強調した。

キャンプではケガ人が多く苦しんだ昨年を反省し、第2クールまではランニングメニューを増やす。「奪Sh!(ダッシュ)」のスローガンのもと攻撃では足技を、守りでは相手の足技を封じる「1点を取り、1点を与えない」の細かい野球を磨く。新人以外補強がないのは、現有戦力への自信の証し。工藤ホークスが大人の野球で日本一へ突き進む。【石橋隆雄】