広島ドラフト1位の小園海斗内野手(18=報徳学園)が「プロ1号」をかっ飛ばした。5日の宮崎・日南キャンプのフリー打撃で九里と対戦。32スイングで安打性は14本を数え、23球目を右中間スタンドにたたき込んだ。本来は長距離打者でなく、広角に打ち分けるシュアな打撃が目立ったが、タイミングが合えば1発もあるパンチ力を見せつけた。1軍生き残りへまだまだアピールを続ける。

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小園は九里のストレートに対して内側からバットを出し、鋭く捉えた。プロの投手と対戦するのは初めて。そんなことを忘れさせる「プロ1号」の放物線が、右中間最深部のフェンスを越えた。「僕はホームランバッターじゃないし、狙ってもいないけど、いい角度でいけば入るというのがわかった」と控えめに喜んだ。

1発以上に目立ったのが、左右に打ち分ける技術だ。初球の外角低めを、いきなり左翼線にライナーで運んだ。内に入った2球目は右中間へ。「コースに応じて、外はレフトに強い打球を打つことを心がけた」。対戦した九里は「真っすぐだけなんで分からないですが、思い切ってスイングしていたと思う」と話した。

驚くべき速さで成長を続ける。キャンプ初日は打撃練習でやや精彩を欠いたが、東出打撃コーチにトップの位置を固めるよう指示されてから確実性がアップ。宿舎では「YouTube」に次々アップされる自分の打撃フォームを見て、修正点を確認している。初日から見守る中日鈴木スコアラーは「タイミングの取り方いい」と評価を高めた。

木製バットを苦にしない。高2で日本代表として参加したU18W杯で早くも木製を使いこなし、チームトップの14安打を放った。高3でも日本代表に選ばれ、チーム打率トップ。そのコツを「ゴルフ打ちをそのまま野球にした感じ」と説明する。ゴルフ好きの父考志さん(46)からハンドファーストの感覚を教わり、野球に応用。金属バットの弊害といわれるドアスイングを封印した。

反省も忘れない。「ミスショットが多かったのでしっかり修正していきたい」。遊撃には田中広という絶対的存在がいるが、意識せずに自らのレベルアップだけを考える。小園はまだまだ成長する。【村野森】