オリックスから阪神にFA移籍した西勇輝投手(28)が12日、沖縄・宜野座キャンプで自らのチーム最多を更新する150球のブルペン投球を行った。

第3クール最終日。まずはテンポよく切りのいい100球で切り上げた。終了と思われたが、約30分後に無人のブルペンに再び姿を現し、さらに力強く50球。10日に投げた137球を上回り、今クールは目標の計300球に迫った。「常に一定のパワーで投げきる」目的で多めの球数に軸足を置いたクールを熱投で締めた。

うれしい“サプライズ”もあった。「今日は福留さんがバッターボックスに立ってくれたことが一番うれしかった。緊張もしたんですけど、憧れている人なので幸せな時間でした」。西の67球目から100球目まで、13歳上の福留が打席に立った。厳しく攻めづらいと思っていた西に「攻めていいよ」と声を掛ける先輩の心遣いもあった。三重県出身の西は子どもの頃、福留のユニホームを着て、ナゴヤドームへ何度も足を運んだ。その「ホームランの姿、強肩、好守、パフォーマンス」は目に焼き付いている。“対戦”に気持ち高ぶるブルペンだった。

ここまでは西の計画通りに調整が進んでいる。「自分の状態をキープできれば」と14日からの第4クールは球数を減らしていく。矢野監督は「オリックスにいた時よりは若干早めに仕上げている感じだとは思うけど、何の心配もしてないし、西らしいボールを投げられている」と信頼する。全体練習前には、1人グラウンドで走り込む姿もあった。自分のペースできっちり仕上げていく。【磯綾乃】