陽気なゴリラがキングコングになった。ロッテの新外国人ケニス・バルガス内野手(28=ツインズ3A)が、巨人戦で左右両打席で合計飛距離300メートルの特大2本塁打を放った。

東京ドームは狭すぎた。今季NPB最重量133キロの巨体から放たれた打球に、沢村賞右腕も苦笑いを浮かべた。まず左打席での2回2死。菅野の初球、133キロスライダーを「いつも以上に積極的にいった」とかっ飛ばした。天井すれすれの軌道で右翼席後方の「旭化成」看板に直撃。推定150メートル弾でねじ伏せた。

左でたたけば、右でもたたく。8回1死一塁、左腕吉川光のカーブを右打席ですくい上げ、左翼席上部の「IIJmio」の看板にズドン。左右での推定150メートル弾にも「普通です。100%でスイングしないように心がけている」と余力残しを強調した。

本能だけでなく、計算高くアーチを描く。もともと右打者だが、ツインズに入団後の09年にスイッチヒッターを始めた。「遊びで左で打ったら、それがホームランになったんだ」。天才肌…ではなく左打席では約907グラムの黒バット、右打席では約921グラムの白バットと最も適した道具を選ぶ繊細さを兼備している。試合前までは34打数2安打、打率5分9厘と苦しんだが「リプレーを見るのが楽しみ。明日もガンバルガス」と手応えをつかんだ。

陽気な性格も武器だ。本塁打後に胸をたたく「ゴリラポーズ」と「ガンバルガス」のワードもなじんできた。報道陣を見かけると「ハイハイハイハイ」と連呼し続ける。千葉から乗り込み、見事に東京を破壊。開幕に向けてお目覚めだ。【久永壮真】