広島は29日、マツダスタジアムで巨人との開幕戦を迎える。投手力アップを目指す今季は先発10人構想を掲げ、先発陣が欠けてもすぐに代役を立てる態勢を整えている。

同時にマウンドの土をメジャー仕様の硬いものに変更し、プレートにも「5ミリの改良」を加えた。マツダスタジアムの防御率3・78を良化させれば、リーグ4連覇に近づく。オープン戦で好評だった新マウンドとともに、勝負のシーズンが始まる。

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広島投手陣は昨季、マツダスタジアムで防御率3・78と健闘した。ここをさらに良化すれば、チーム力は上がる。佐々岡投手コーチは「数値の目標は設定していない」と話したが、試合数を考えると減らせる失点は少しでも減らしたい。

今季は先発10人制を掲げ、代替の先発要員を2軍で準備させているが、もう1つ取り組んできたのがマウンドの改造だ。きっかけは昨秋の日米野球。「ブラック・スティック」という粘土質の黒土を採用し、より硬く、掘れにくいメジャー仕様に変更した。「シーズンでも使えるのでは」という声が上がり、今春キャンプでテスト。1次キャンプの日南は5つのうち3つ、2次キャンプの沖縄は5つすべてを硬くした。否定的意見は出ず、採用が決まった。

土とともに変更を加えたのが「サブプレート」だ。投手板の捕手側に隣接する形で段差をつけて埋めるもう1つの投手板のことで、この上に投手の軸足が乗ることになる。土で覆うため外からは見えないが、土台が安定して掘れにくくなる。このサブプレートの段差を昨年の2・5センチから2センチに変更。5ミリせり上がる形となり、より土が掘れにくくなった。

オープン戦で新マウンドを試した選手の反応はおおむね良好だ。

野村 土自体は去年も硬かったんで、そんなに感覚は変わりない。

岡田 ネガティブな感想はまったくないですね。それよりプレートが変わった。前は掘れていたけど、今は掘れなくなった。

大瀬良 日米野球で投げたときに比べると、少し軟らかい印象があります。日米野球では、次の日の疲労感、体の張りが強かった。体への負担だけ対策を練っていければと思います。

日本のマウンドは硬くするのがトレンド。甲子園、ナゴヤドームなども今季から硬くなった。この土には、雨が降ったときにスパイクにまとわりつかない特徴もあるという。助っ人勢への好影響もありそうだ。佐々岡投手コーチは「昨年と硬さはほとんど変わらない」と話すが、少しでも効果が期待できるなら手は打つということ。まずは開幕投手に指名された大瀬良が、29日巨人戦でこのマウンドに立つ。