伝説の4打席連続三振だ!! 初の開幕投手となった広島大瀬良大地投手(27)が、昨年までの同僚、巨人丸から4連続三振を奪った。3つのウイニングショットで翻弄(ほんろう)し、強力打線を分断。8回を7安打無失点、11三振の内容で初勝利を挙げた。菅野との投げ合いにも勝ち、完封リレーを演出。リーグ4連覇を目指すチームのエース格として、最高のスタートを切った。

大瀬良が投じた魂のストレートが、外角低めに決まった。丸はバットを出すこともできず、ぼうぜんと見送った。8回1死一、二塁。初めて得点圏に走者を背負った場面で元同僚を迎え、4打席連続となる三振を奪った。大歓声で球場が揺れる。「ほっとしました。抑えることが恩返しになる」。絶対に抑えたい相手を完璧に封じ込め、さわやかに笑った。

すべての神経をそそぎ、丸に対した。初回1死一塁ではカウント1-2から内角のボールになるカットボールで空振り三振。4回先頭ではカットボールを外角のボールゾーンからストライクゾーンをかすめる「バックドア」で見逃し三振。6回は初めて投じたスローカーブで空振りを奪った。そして8回は一転、力勝負。かつて国鉄のエース金田正一が、巨人のルーキー長嶋茂雄のデビュー戦で4連続三振を奪ったが、そんな伝説をほうふつとさせる衝撃だった。

大瀬良にとって丸は尊敬の対象だった。「いろいろ野球の話をして、お世話になった方」。数年前の秋季キャンプ。練習後、丸がシーズン中にメモした相手投手のデータを丁寧に整理する姿を見て衝撃を受けた。疲れているはずなのに、翌年に向けた準備をしていた。プロとはどうあるべきかを学んだ。昨オフ、丸の巨人移籍決定後、ユーチューブで何度も打撃を見た。どう抑えるか、繰り返し考えた。「内角に投げるときは厳しく」。出した答えをマウンドにぶつけた。

佐々岡投手コーチは7回裏の打席に立たせ、8回も続投させた。「エースとしてやってほしい気持ちもあった」と振り返る。8回で7安打を許したが11三振を奪い、数字以上に圧倒的な内容だった。緒方監督は「大地に尽きるね。初回から走者を背負ってからの投球が続いたけど、粘り強く投げてくれた」と絶賛した。

球界のエース菅野との投げ合いも制した大瀬良は「これを続けていけるように」と言った。頼もしい右腕が新生カープを引っ張っていく。【村野森】