バットでエースを強力援護した。巨人小林誠司捕手(29)が2回に先制の1号3ラン。その後も右前打、中前打、二塁打と重ね、プロ初の4安打でチームを大勝に導いた。

規定打席には未達ながら、打率は3割6分1厘をマーク。菅野と同い年、平成元年生まれの女房役が存在感を示した。

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よいっしょ! っと小林が力強く持ち上げた。2回1死一、二塁。阪神メッセンジャーの初球に両腕を目いっぱい伸ばした。真ん中低めのボールゾーンに沈む大きなカーブをリフトアップ。「積極的に振っていこうと思った。練習の成果が出て良かった。バットであまり援護したことがないので、今日はそれができて良かった」と、左翼席へ先制の1号3ランを放り込んだ。

平成元年生まれが、平成の最後にギリギリ滑り込んだ。プロ入り後、甲子園139打席目で待望の初アーチ。試合前の時点で同球場の通算打率2割4分3厘と聖地との相性は悪くはない。キャンプ中から原監督に直接指導を受けるなど、課題の打撃向上に取り組んできた。黒土にまみれながらの全力プレーで甲子園に潜む“魔物”をものみ込んだ。2打席目以降も安打を重ねて、プロ初の4安打猛打賞で暴れた。

鍛え抜いたオフが価値ある1発へ導いた。社会人野球の日本生命の施設にこもり、単独でハードトレを敢行。例年以上にウエートトレを取り入れた。自主トレ中は堺市内の実家を拠点とし、朝夕は母親の手料理をほおばった。「鍋が多かったかな。やっぱり、おかあのご飯が一番おいしい。いろいろ考えて作ってくれたと思う。めちゃくちゃ食べました」。栄養満点の食事が肉体改造を助長した。

原監督も小林の打棒を大いにたたえた。「最初の3ランが非常にいいところで打ってくれた。主導権をにぎれたのが良かった。お見事でしたね」と8番打者の1発を勝因に挙げた。「コーチも監督もキャンプからずっと教えてくださったので、打ててよかったです。下位が塁に出て上位につなげばなんとかなる。粘り強くしつこくいけるようにしたい」と小林。女房役の援護ほど頼もしいものはない。【為田聡史】