ゲームセットの瞬間、普段クールな男が満面の笑みを浮かべた。

オリックス増井浩俊投手(34)がプロ野球史上14人目の通算150セーブを達成した。「自分自身が150セーブを達成できるとは思ってなかった。達成できてうれしいです」。ホールドポイントは165個をマークしており、セーブとの“ダブル150”達成は阪神藤川球児と元オリックスで現在はダイヤモンドバックスの平野佳寿に次ぐ3人目の快挙だ。

やられた分、きっちりやり返した。7日楽天戦では3点リードの9回に登板したが3失点で救援失敗。「やったりやられたりの世界。今度はやり返してやるという気持ちはありました」。1点リードの9回、ブラッシュ、オコエ、足立をきっちり3人で仕留めた。

小さな積み重ねが偉業を後押しした。「一番はケガがなかったことですね」。2月の春季キャンプは1度もトレーナー室に行かなかった。「自分でのケアの年々上手になっているというか、自分の体をどんどんわかってきた」。炭酸風呂で疲れを癒やしつつ、高額の超音波器具を購入。日々傷んだ筋肉をほぐし続けた。

日本ハム時代の12年5月6日、オリックス戦で挙げたプロ初セーブから始まった。「クローザーとして使い続けてもらっているので、こうやって記録を達成して少し恩返しができたかな」。西村監督は「いろんな若手に良いものをみせてくれている。貴重な存在ですね」とたたえた。

記念のボールはプロ10年間でつかんできた「100セーブ記念」「100ホールド記念」「12球団セーブ記念」などとともに、都内の自宅に飾る。「守護神はチーム内で最も頼れるリリーバー。できるだけそのポジションにいたいなと思います」。また新たな歴史に名を刻むべく、日々鍛錬を重ねていく。【古財稜明】

▼通算150セーブ=増井(オリックス) 19日の楽天4回戦(楽天生命パーク)で今季5セーブ目を挙げて達成。プロ野球14人目。初セーブは日本ハム時代の12年5月6日のオリックス9回戦(札幌ドーム)。