オリックス田口壮野手総合兼打撃コーチ(49)が、29日西武戦(京セラドーム大阪)への思いを語った。その日はチームにとって平成最後の試合。「THE MAGIC AKIRA OHGI DAY」と銘打ち、監督、コーチ、選手全員がブルーウェーブ時代の仰木彬監督の背番号72を背負って、96年日本一を果たした亡き名将をしのぶ。

4月29日は仰木監督の誕生日だ。田口コーチは、今年3月に引退したイチロー氏(45=元マリナーズ)らとともに、仰木オリックスの中心選手だった。シーズンの試合運び、練習中の会話などを通じて仰木監督の人となりを理解し、ともに日本一のチームを作り上げてきた。「チームの歴史を知り、伝統を大事にするのは大切。選手にとっていい機会だと思います」と、イベントの意義を語る。

田口コーチが活躍したメジャーでは、チーム全員が同じ背番号を背負って先人の遺業をたたえる習慣がある。たとえば4月19日は、黒人選手の存在をメジャーに定着させたジャック・ルーズベルト・ロビンソン内野手の功績をたたえ、42をつける。先人の努力があり、今がある。それを知るのは「野球の幅を広げるのに役立つ」と田口コーチは言う。

現在、指導者になった田口コーチは「どこかで、仰木監督を追いかけている」と明かした。「選手に自由にやらせてあげたい」という発想は、普段は何をしていても「グラウンドでは、やることをやれ」という仰木監督の指導姿勢を見て培われた。球団の歴史を知り、先人の人となりを学ぶことも、選手にとって血となり、肉となる財産だ。【堀まどか】