与田竜が今季最大のアクシデントを総力戦で乗り切った。12連戦の初戦を託された笠原が「不整脈の疑い」と診断され、先発を緊急回避。だが攻守に一丸で結束して3点ビハインドをはね返し、連敗を3で止めた。与田監督は「先発変更という形の中で、よく頑張ってくれた」とナインの奮闘をたたえた。

急きょ代役で佐藤が先発し、初回に3失点。だが2、3回は踏ん張り又吉にバトン。変則右腕は4回からの3イニングをパーフェクトに抑え、打線の逆転劇を呼び込んだ。与田監督は「素晴らしい投球。いい雰囲気にしてくれた。イニングも今季最長。時々、悪い球が行ったが、すぐに修正できた」と絶賛した。

3イニング登板は、先発だった17年6月13日の日本ハム戦で5回を投げて以来。自己最速タイの152キロもマークして今季初勝利をつかんだ。「緊張感がある中で、フラットな気持ちで投げられた。あの力感であのスピードが投げられた。不思議な感覚だった。独立リーグのとき以来かも」。プロ入り後、初めて味わう感覚だったという。「1日、1日。1イニングずつ、1人ずつ大切に投げて終わっていれば」。残り11連戦も大車輪の覚悟だ。

開幕投手の長期離脱もあり得る非常事態。試合前に与田監督は選手を集めた。「こういう時にみんなで助け合っていくしかない」。言葉通りに選手は躍動した。打線は3点を追う4回に大島の適時打とビシエドの3点本塁打で逆転。5回には阿部が追加点を挙げた。7回2死二塁のピンチは防御率0男の谷元がワンポイントで大山を打ち取った。

「名古屋でたくさんのファンに囲まれて戦えるのは幸せ。選手たちも元気が出る」と指揮官は話した。12連戦は9試合がホーム開催。危機を力に変え、与田竜が進撃する。【伊東大介】