ヤクルト五十嵐亮太投手(39)が2日連続の好リリーフをみせ、両リーグ単独トップに立つ5勝目を挙げた。

同点の9回に降りしきる雨の中で登板。制球に苦しみながらもDeNA打線を1回無安打無失点に封じ、味方の勝ち越しにつなげた。五十嵐は平成最後の試合で、現役の平成最多を更新する789登板。40歳シーズン以上の月間5勝は史上初で、令和時代につなげる熱投だった。

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連投の五十嵐にとってマウンド上は最悪のコンディションだった。9回1死から大和を四球で歩かせた。雨で足元がぬかるみ、スパイクの裏は土でべっとり。うまく踏ん張れず、制球を乱した。続く打者に犠打を決められ2死二塁。迎えるは第2打席で本塁打を打っているソトだ。

ここでマウンドに土を入れるため試合が中断した。ベンチから出て来た田畑投手コーチが五十嵐の足元にかがみ、スパイクの泥をブラシで落とし始めた。「普通コーチに泥とか取らせないですけど(笑い)。もしヒットを打たれたら田畑さんに合わせる顔がなかった」。再開後、五十嵐はソトに気持ちのこもった149キロ直球を投げ、芯で捉えられたが中飛に仕留めた。「田畑さんがものすごく丁寧に泥を取ってくれた。その気持ちがあったから打球が正面にいってくれた」。

ヤクルトは延長10回に代打荒木の適時二塁打で勝ち越し。前日29日の広島戦に続き、五十嵐に2日連続となる今季5勝目がついた。

オフに戦力外通告を受けた五十嵐へ古巣復帰のオファーを出したのは、88年にすべてリリーフで18勝を挙げ、最多勝を獲得した伊東昭光編成部長だ。五十嵐は「できればホールドを重ねることの方が僕にとってもチームにとっても本来のスタイルだと思う」と「18勝」は意識しないとした上で「でも伊東さんも喜んでくれているんじゃないかと思う。戻って来てマウンドに上がれるチャンスをもらったというだけでもありがたい、感謝の気持ちでいっぱいです」。令和になっても周囲に感謝しながら投げ続ける。【千葉修宏】