56歳の誕生日を迎えたソフトバンク工藤公康監督が5日、就任した15年以来5年連続のバースデー白星を挙げた。プロ初のお立ち台に立った育成出身の周東佑京内野手(23)がお祝いの歌をプレゼント。3回には三塁打で先制点を呼び込み、7回には中前打から二盗、三盗を決めダメ押しのホームを踏む活躍で指揮官を祝った。チームは今季2度目の4連勝でがっちり首位をキープした。

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「ハッピーバースデ~、トゥ~ユ~~」。グラウンドからもれるぎこちない歌声を聞き、工藤監督は幸せそうに笑った。「気持ちがこもって歌ってくれるだけで十分です」。投打がかみ合っての快勝で、就任から5年連続のバースデー白星。15年の柳田、昨年の武田に続き、今年は周東とミランダのデュオがお祝いの歌を歌ってくれた。

柳田をはじめ多くの故障者を抱える中、苦心のマネジメントが続く。「これ以上けが人が出ないように、考えないといけない」。右手甲を痛めている上林は3戦連続で先発から外し、左太ももに不安のある内川も起用しなかった。勝勢が強まった終盤には、故障明けのグラシアル、ともに足に不安のある今宮とデスパイネをベンチに下げた。

厳しいやりくりを強いられているが、プラスの面もあった。「代わりに出てくれている選手が頑張ってくれている」。この日は周東が足で貢献し、自身初のお立ち台に立った。3回1死では左越えの打球で、三塁まで11秒を切る快足を生かし三塁打。今宮の適時打で先制のホームを踏んだ。7回1死で中前打を打つと、二盗、三盗を決め松田宣の一打でダメ押しの得点だ。

育成出身のいだてんは「走れるところを一番アピールしないと。ケガの方が戻ってきたときに残れない」。現在リーグ3位の8盗塁で成功率は100%。2度の代走出場で1盗塁があるが、残り7つはわずか41打席でマークしている。仮に規定の443打席で換算すると75個を超える驚異的なペースだ。工藤監督も「のびのびと、持っているものを出してくれている」とほくほく顔で喜んだ。

4連勝で貯金は今季最多8まで伸び、がっちり首位を守る。指揮官は「勝ったことが何よりうれしい。みんなすごく乗っているし、生き生き野球をしてくれている」。一丸の野球で、勝利という最大のプレゼントを手にした。【山本大地】